複式簿記 勘定科目

複式簿記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/06 13:21 UTC 版)

勘定科目

資産

現金受取手形売掛金商品有価証券建物機械土地などがこれに属する。資産勘定は、終局的には貸借対照表の借方(左側)に記載される。

負債

支払手形、買掛金借入金未払金などがこれに属する。負債勘定は、終局的には貸借対照表の貸方に記載される。

純資産資本

資本金資本準備金利益準備金などがこれに属する。純資産勘定も、終局的には貸借対照表の貸方に記載される。なお会社法施行に伴い、貸借対照表の資本の部は、純資産の部に変わった。

費用

仕入給料手当、広告宣伝費、消耗品費交際費通信交通費、支払利息などがこれに属する。費用勘定は、終局的には損益計算書の借方に記載される。

収益

売上、雑収入、固定資産売却益などがこれに属する。収益勘定は、終局的には損益計算書の貸方に記載される。

仕訳

仕訳においては、勘定科目の5区分で述べた、貸借対照表又は損益計算書における終局的な位置(借方か貸方か)にその勘定科目があれば、その勘定科目の増加を表し、反対側にあれば、その勘定科目が減少することを意味するというルールがある。

例えば、「現金」や「土地」勘定は借方(左側)が貸借対照表の終局的な位置であることから、

借方 貸方
土地 10,000,000 現金 10,000,000

と仕訳を行った場合、これは「現金1000万円で土地を買った」こと、すなわち現金の減少と、土地の増加を表すこととなる。

記載の簡易説明

噛み砕いて言えば、帳簿の右側(貸方)に資本金、借入、収入などの「資金の出所」を記載し、左側(借方)に投資(機材、仕入れなど)、貸付、出費などの「資金の用途・所在」を記載するということである。

例えば、ある会社の銀行口座に100万円が振り込まれたとする。この場合、この100万円の所在は銀行口座である。そしてこの資金の出所はオーナーの出資や取引先からの借入などが考えられる。この場合、左側の銀行口座の欄に100万円が書き加えられ、右側にも100万円が資本金、あるいは取引先の借入金として書き入れられる。

仮に○×銀行から100万円を借り入れたとする。この場合は帳簿の左側に100万円の預金が記載され帳簿の右側に100万円の借金が記載される。

さらにこの100万円を使って商品を仕入れたとする。この場合は右側に記載されている○×銀行の借金は変わらないが、左側に記載されている銀行預金の100万円は消滅し、これが100万円分の仕入品に入れ替わる。

さらにこの仕入品が120万円で売れたとする。この場合に100万円の仕入れ品が消滅し、代わりに120万円の現金が左側に記載される。この場合、右側の100万円の借金との不均等が生じるがこれは右側に20万円の利益を書き込むことで、不均衡が消滅する。

同じように銀行の借金の金利が10万円であるとする。10万円の金利が20万円の利益から引かれ、利益が10万円目減りする。この場合は左側の120万円の現金は換わらないが右側の○×銀行の借金が100万円の元金と10万円の利子の合計の110万円に増え、20万円の利益が10万円に目減りする。

ここで留意しなければならないのは左側の帳簿の合計と右側の帳簿の合計が常に同額であるということである。ある会社が5億円の株と5億円の社債を発行した場合は右側に5億円の出資金と5億円の借金が記載され、左側には10億円分の現金、土地、工場、設備、仕入品が記載される。ここで会社が儲かっていればその利益の分だけ両側の合計が増加し、逆に会社が損を出している場合は株と社債の額面の値段にかかわらず銀行と出資者の投資は目減りしていることになる。このように複式簿記においては帳簿の右側と左側の合計が常に一致するように記載される。

これは複式簿記会計の基礎として貸借平均の原理によるものである。

脚注


注釈

  1. ^ 借方・貸方という用語は、単純に借方とは「左側」、貸方とは「右側」を意味するに過ぎない(歴史的な語義は失われている。ちなみに借方や貸方という訳語を当てたのは福澤諭吉によるものと言われている)。

出典

  1. ^ 宮崎正勝『知っておきたい「お金」の世界史』2009年。 
  2. ^ 三代川 2019, pp. 132–133.
  3. ^ 橋本 2015.
  4. ^ 橋本 2015, pp. 4–5.
  5. ^ 橋本 2015, pp. 5–6.
  6. ^ 橋本 2015, pp. 6–7.
  7. ^ 橋本 2015, pp. 7–8.
  8. ^ 橋本 2015, pp. 8–9.
  9. ^ 友岡賛『会計の時代だ』。 
  10. ^ 小倉栄一郎『江州中井家帳合の法』
  11. ^ 津谷 1998, p. 65-72.


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