日本水準原点 日本水準原点標庫

日本水準原点

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/01 08:08 UTC 版)

日本水準原点標庫

日本水準原点標庫

日本水準原点標庫は、日本水準原点を保護するための建物である。原点は日本水準原点標庫の内部正面にある、菊花紋章をあしらった黒い蓋を外したところに存在する。誤解または混同されがちであるが、建物自体が水準原点であるわけではない。

設計者は佐立七次郎。佐立の最初期の作品である。施工は清水組(現:清水建設[19]

建物は石造で平家建。建築面積は14.93 m2で軒高3.75 m、総高4.3 m。正面のプロポーションは柱廊とその上部のエンタブラチュア(帯状部)とペディメント(三角妻壁)のレリーフの装飾で特徴づけられる。石造による小規模な作品であるがローマ風神殿建築に倣い、ドーリア式オーダー(配列形式)をもつ本格的な様式建築で明治期の数少ない近代洋風建築として建築史上貴重なものである。

なおエンタブラチュアのフリーズ部分には菊紋と共に右から「大日本帝󠄁國」と刻まれており、「大日本帝国」号を残す数少ない公的建造物でもある。

指定文化財等

以下の物件が2019年12月27日、国の重要文化財に指定された[20][21]。指定名称は「日本」を冠称しない「水準原点」[20]

  • 水準原点
    • 原点 1基
    • 掩蓋(えんがい) 1棟(※「掩蓋」は「標庫」のこと)
    • 附:附属標石3基 甲乙丙号よりなる 石製

また、同年に「日本水準原点と日本水準原点標庫」は土木学会選奨土木遺産にも選ばれた[22]

記念切手

1991年5月30日、日本水準原点の設置から100周年になるのを記念して「日本水準原点100周年記念切手」が発行された[23]。62円切手1種で、発行枚数1600万枚。

図案は日本水準原点標庫を背後に、明治大正期の水準測量作業に使用されたドイツ水準儀カール・バンベルヒ一等水準儀」(国立科学博物館所蔵)[24]を前景に配している。


脚注

  1. ^ a b 測量法施行令[2]第2条第2項。
  2. ^ a b 2011年(平成23年)10月21日政令第326号「測量法施行令の一部を改正する政令」による改正。同日施行[4][5]
  3. ^ 測量法[13]第11条第1項第1号。
  4. ^ 測量法施行令[2]第2条第2項第2号。
  5. ^ 水路業務法施行令[14]第1条。
  6. ^ 測量法[13]第11条第1項第3号ただし書き。「測量の原点は、日本経緯度原点及び日本水準原点とする。ただし、離島の測量その他特別の事情がある場合において、国土地理院の長の承認を得たときは、この限りでない。」

出典

  1. ^ Japanese Geodetic Datum 2011 (JGD2011)”. Geodetic survey. 国土地理院. 2017年6月25日閲覧。
  2. ^ a b 測量法施行令”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2013年9月17日閲覧。
  3. ^ 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2015年10月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年10月18日閲覧。(2011年07月27日改測)
  4. ^ 測量法施行令の一部を改正する政令について”. 国土地理院. 2011年10月18日閲覧。
  5. ^ 測量法施行令の一部を改正する政令案新旧対照条文” (PDF). 国土地理院. 2011年10月18日閲覧。
  6. ^ ジオイド高計算”. 国土地理院. 2015年10月18日閲覧。
  7. ^ 「引照点」とは”. Weblio辞書. 2018年3月21日閲覧。
  8. ^ 引照点とは”. 根本聡土地家屋調査士事務所. 2018年3月21日閲覧。
  9. ^ 上西勝也. “水準原点近傍 甲号など”. 史跡と標石で辿る日本の測量史. 東京・神奈川・山梨の水準点. 2018年3月21日閲覧。
  10. ^ 地図測量史と標石 (2017年5月26日). “5つの付属点の位置図”. Facebook. 2018年3月21日閲覧。
  11. ^ 日本水準原点&一等水準点の甲乙丙丁戊とアースの標石?”. 徒然なるままに. 2018年3月21日閲覧。
  12. ^ 測量の日記念 日本水準原点公開 〜 国土交通省国土地理院”. 駅からマンホール (2014年6月3日). 2018年3月21日閲覧。
  13. ^ a b 測量法”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2013年9月17日閲覧。
  14. ^ 水路業務法施行令”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2013年9月17日閲覧。
  15. ^ 楡井尊「川をめぐることば  A.P.とT.P. -標高の生みの親は荒川だった-」『かわはく』第7号、埼玉県立川の博物館、2000年3月3日、2014年6月15日閲覧 
  16. ^ 上西勝也. “水準原点と験潮場”. 史跡と標石で辿る日本の測量史. 2014年6月15日閲覧。
  17. ^ 箱岩英一「河川・水路・港湾の基準面について」(PDF)『国土地理院時報』第99号、国土地理院、2002年、9-19頁、2014年6月15日閲覧 
  18. ^ 測地測量と地殻変動研究」(PDF)『国土地理院時報』第100号、国土地理院、2003年、6頁、2013年9月17日閲覧 
  19. ^ Museum - Our Heritage”. 清水建設. 2021年2月14日閲覧。
  20. ^ a b 令和元年12月27日文部科学省告示第113号
  21. ^ 報道発表「重要文化財(建造物)の指定について」”. 文化庁文化財第二課. 文化庁. 2019年10月21日閲覧。
  22. ^ 土木学会 令和元年度選奨土木遺産 日本水準原点と日本水準原点標庫”. www.jsce.or.jp. 2022年6月9日閲覧。
  23. ^ 1991年(平成3年)5月18日郵政省告示第326号「日本水準原点百周年記念六十二円郵便切手を発行する件」
  24. ^ 一等水準儀”. 理工学研究室電子資料館. 国立科学博物館. 2010年10月31日閲覧。


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