待遇表現とは? わかりやすく解説

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待遇表現

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/22 00:43 UTC 版)

待遇表現(たいぐうひょうげん)とは、円滑なコミュニケーションを推進するため、上下親疎の人間関係及びその場の状況や雰囲気を認識し、言葉文章を選択して言語化することを指す[1][2][3]


  1. ^ 坂本恵「日本語表現における「待遇表現」の扱い方」(PDF)『日本語教育連絡会議第7回発表論文集』、日本語教育連絡会議、1994年。 
  2. ^ 国立国語研究所『敬語教育の基本問題(下)』p.1
  3. ^ 曽我(1995), p. 15.
  4. ^ 蒲谷.坂本(1991), p. 26.
  5. ^ 『世界大百科事典「敬語 - 林大」』
  6. ^ 蒲谷.坂本(1991), p. 27.
  7. ^ 蒲谷.坂本(1991), p. 41.
  8. ^ 例えば、相手が極丁寧な「でございます」「であります」や、丁寧な「ですます」を使うのに対し、粗末な「だである」で応じる。
  9. ^ 例えば、相手が「食べる」というところを、自分は「食う」と表現する。
  10. ^ 例えば、相手がいわゆる尊敬語(主体配慮語)や謙譲語(客体配慮語)を自分に使うのに、自分は相手に対してそれらを使わない。
  11. ^ 例えば相手が代名詞で自分を呼べず、普通名詞の職業名や「苗字+さん」などで呼ぶしかない状況で、自分は相手を代名詞、とりわけ蒲谷ほか(1998), p. 207-208によると比較的丁寧ではあるが対等からやや見下した代名詞である「あなた」、あるいはそれ以下の丁寧さしかない「君」「おまえ」などの代名詞で呼ぶ。縦えお互い代名詞で呼ぶ場合も、相手が「そちら」「そちらさま」「あなたさま」と呼ぶところを「あなた」、「きみ」、および「おまえ」で返す。
  12. ^ 例えば、相手が職業名で呼びかけているのに、相手の職業名を呼ばない。相手が自分を「さん付け」しているのに、自分は相手を「くん付け」する、あるいは名字や名前を呼び捨てる。また、相手が自分に「様」を使うのに、自分は相手に「殿」で返す。
  13. ^ 例えば、相手は自分に「〜してくださいませんか?」「〜していただけますでしょうか?」と依頼するのに、自分は相手に「〜やって」「〜しろ」「〜してください」などと依頼する。
  14. ^ 例えば、相手は最低レベルの好意への感謝についても「ありがとうございます」というのに、自分は同じような好意への感謝で「ありがとう」としか言わない。
  15. ^ 例えば、相手は最低レベルの権利侵害への陳謝についても「ごめんなさい」「すみません」というのに、自分は同じようなレベルの権利侵害への陳謝でも「ごめん」としか言わない。
  16. ^ 例えば、相手が「おはようございます」「お疲れ様です」と挨拶しているのに、「おはよう」「お疲れ様」とだけ返す。
  17. ^ 一例では、東京大学野球部は、「理不尽に厳しい上下関係はありません。」としつつも、「先輩や目上の人への礼儀は当然」とみなしており、「年齢に関係なく大学の学年に従い敬語を使います。」として、学年に基づく差別的待遇表現を「当然の礼儀」とみなしている。FAQ 東京大学野球部、2012年2月7日付、2013年6月23日閲覧
  18. ^ 蒲谷は、『「敬語」を使うことに対して抵抗を感じるという声もよく聞く。アメリカからのある留学生は、サークルでの先輩後輩関係の敬語使用に対して嫌悪感を覚えると言っていた。上下意識への違和感以上に、自分の気持ちを偽り、演じる姿勢に対する抵抗があるということだった。』などと、最初に日本国の規範主義的待遇表現イデオロギーに違和感を覚える人間の意見を紹介した上で、『〈使いたくないけれども使わされている、自分の意思に反した表現をしている〉というのは、「大人」の態度であるとは言えない。』などと、日本国の規範主義イデオロギーの中で圧迫され、待遇表現上の劣位を強いられている者達を、『自己責任』であると突き離し、「『軽蔑している相手にも敬語を使っておけばいいんだ〉などと嘯いていることは、むしろ「子ども」じみた態度である。』などと、面従腹背を強いられている人間の内面も批判し、年齢差別的表現を用い、日本国の規範主義的な差別的待遇表現を擁護している。きもち・なかみ・かたち ~三位一体で「大人」の敬語コミュニケーション~新鐘72、Essay [コミュニケーション考現学]2005年10月29日付け、2013年6月23日閲覧
  19. ^ しかし、これについては実態の一部分しか見ていないという批判がありうる。当時よりさらに力関係や身分関係に基づく言語表現の弛緩が進んだ21世紀初頭の現代標準日本語でも、支配者・優位者が「だである」、服従者・劣位者が「ですます」を用いる非対称使用は、会社や学校、日常を中心に広く見られ、イデオロギー上ほぼ義務化されており、ネウストプニーの記述した状態とは大きく離れている。坂本 (2001) では、現在でも、部活動や職場での先輩(先に入った者)と後輩(後に入った者)との間で、後輩が丁寧表現を義務付けられているのを原則であると述べている。又、この論文を引用しつつ、井上他 (2006) でも、アンケートを取った結果として、同様に、後輩が丁寧表現を義務付けられることが原則・通例であることを述べている。
  20. ^ 蒲谷ほか(1998), p. 8では、後輩(後に入った者)を『-1』、先輩(先に入った者)を『+1』に位置づける場合があるとして、より明確に組織に入った順番で固定的な支配権ポイントを自動的に割り振る日本標準イデオロギーを述べている。
  21. ^ 支配者・優位者・尊敬の対象を指す日本標準語の用語
  22. ^ 服従者・劣位者・軽蔑の対象を指す日本標準語の用語
  23. ^ 学年という形で学習進度を図る学校での、学習進度の進んだ学年が上級生、進んでいない学年が下級生。語源上、名称に貴賎や主従が織り込んまれている。
  24. ^ この流れの発端を作ったことについては、天道教徒の影響が強かったことが、金成妍(2010:85)で述べられている。
  25. ^ 吉田孝「日・英敬語 <politeness expression> 対照研究「日本語の敬語表現は英語ではどのように表わされるか」─川端康成著『雪国』(昭和12年(1937))の作品中の敬語表現とEdward G. Seidensticker による同著英語翻訳書 Snow Country(Tuttle Publishing Co.)中の英語翻訳文を資料として─」『福島大学人間発達文化学類論集』第14巻、福島大学人間発達文化学類、2011年、19-33頁。 


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