大津市身体障害者リンチ致死事件 概要

大津市身体障害者リンチ致死事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 22:21 UTC 版)

概要

被害者について

被害者Xは生前、大津市立皇子山中学校に在学していたが[1]、同校の3年生であった1999年(平成11年)8月盗難したオートバイ無免許で乗車中に、自動車との接触による交通事故に遭い、右脳に障害を負う脳挫傷重体になる。搬送先の病院で生死の境をさまよいつつも一命を取り留めた。

その後は左半身不随状態であったが、リハビリテーションで歩行できるようになるまで回復するに至った。中学を卒業した被害者は、2000年に引き続きリハビリテーションをしながら、当初は定時制高等学校に通学していたが、定時制高校を退学して改めて全日制高校を受験し、2001年3月27日、全日制高校に合格した。この時、被害者は16歳であった。

事件の発生

2001年3月31日、被害者の全日制高校合格を快く思っていなかった定時制高校に通う2人の少年A(当時15)とB(同17)が「合格のお祝いにカラオケに連れて行ってやる」と被害者を呼び出した。被害者は「友達が初めてのアルバイトの給料で、僕の合格祝いをしてくれる」と喜んで母に伝えた。

待ち合わせ場所の小学校では、2人の少年ならびにそれを取り囲む別の少年3人が待ち伏せていた。少年らは被害者とは別の中学校出身で、共通の友達がいるという程度の関係にあった。少年らは被害者に「なぜ全日制に行くのか? 定時制にいろよ」「障害者のくせに生意気だ」と、被害者を同小学校の裏庭にある給食室の搬入口に連れて行き、被害者に対して執拗な暴力を始める。

被害者に対し、顔への平手打ち・殴打や足・腹への蹴りを入れるなどし、被害者はあごが外れ、顔面も腫れるなどして意識不明になる。さらに、抵抗できない被害者を別の場所に移して、プロレスバックドロップで頭からコンクリートに叩きつけた。さらに、「こいつは障害者だからすぐに狸寝入りをする。プールに放り込んで目覚めさせよう」と被害者に対し水をかけた。立ち会った少年らは「このままでは(被害者が)死んでしまう」と考えて救急車を呼ぼうとするが、主犯格の2人は「そんなことしたらパクられるだろうが」と怒鳴り、被害者を物陰に隠して、少年らはパチンコ屋に行ったという。

また、この小学校の近くに住む老人が、自宅の2階から暴行の様子を見ていたが、老人はそのまま買い物に出かけて警察への通報はしていなかった。

被害者の死

Aは「俺たちで被害者をぼこぼこにした。小便たれて泡吹いて気絶してる」と自慢して回っていた。それを聞いた被害者の友人が現場の小学校に駆けつけ、意識不明となった被害者を見つけ、被害者の母に電話した。被害者は大津市民病院に搬送され、開頭手術をするものの、暴行によって頭部が腫れ上がり、内出血が激しい状態であった。執刀医から「助かる見込みは1%もない」と告げられる。被害者の母が待合室にいたAに暴力の理由について問うと、Aは「むかついていた」という。 事件から約1週間が経過した4月6日急性硬膜下血腫により死亡した。


  1. ^ a b c 中日新聞』2012年8月21日朝刊第二社会面26頁「命を大事に伝える 息子の言葉今こそ 11年前 大津で暴行され死亡 母校のいじめ心痛め」(中日新聞社大津支局・梅田歳晴)
  2. ^ 読売新聞』2012年8月29日大阪朝刊セ滋賀版23頁「命絶った子どもたち生きた証し 次男亡くした○○さん企画 きょうから大津でパネル展=滋賀」(読売新聞大阪本社・大津支社)
  3. ^ 『中日新聞』2012年8月31日朝刊滋賀中日16頁「生きた証しここに 亡くなった子の写真や遺書 大津でパネル展」(中日新聞社大津支局・山内晴信)





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