大津市身体障害者リンチ致死事件 少年審判

大津市身体障害者リンチ致死事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 22:21 UTC 版)

少年審判

しかし、この事件は少年法の改正がなされた前日(新法律は同年4月1日施行)だったため、5人は逮捕され大津家庭裁判所は主犯格の2人を刑事裁判にかけることなく少年審判により、初等少年院送致の保護処分を決定。その他の3人は処分なしで釈放された。

その後

2001年8月、被害者の母親は主犯格の2人とその保護者に対し、9500万円(後に1億円)の損害賠償を求めて提訴した。そして2003年6月に少年院を退院した2人が和解協議に参加し、被害者遺族に「一生かけて償う」と述べて謝罪。同7月3日、6000万円の賠償を支払うことで和解した。

さらに2004年、被害者の母は立ち会った少年3人とその家族らに対して3000万円の損害賠償を求めて提訴したが、2006年5月、この訴えは棄却された。大津地方裁判所は「3人は見張り役だったことを否定し、死亡予見性はなく、通報の義務もない」とした。3人は出廷した尋問において「死ぬとは思わなかった。自分が止めたら何かされると思った」と証言。大津地裁の裁判長は「3人は暴行を直接加えておらず、助長したこともない。制止する法的義務はない」とした。

更に12月大阪高等裁判所で控訴審が行われたが「死の可能性は予想できたが、法的な責任は問えない」として控訴を棄却。更に2008年2月最高裁判所に上告を行うが、救護義務があったとは言いがたいとして上告は棄却された。

2011年に起きた大津市中2いじめ自殺事件での被害者生徒も、本事件の被害の母校である市立皇子山中学校に通学していた[1]。これを受けて本事件の被害者の母は、2012年8月29日から9月2日にかけて大津市内の「大津百町館」で、いじめが原因で自殺したり暴行で死亡したりした生徒約20人についての写真展示会を開催し[1]、命の大切さを訴えた[2]。このパネル展「ジェントルハートメッセージ」は、いじめで子供を失った親たちでつくるNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」が不定期に全国で開催しているもので、8月29日は被害者の誕生日でもある[3]

脚注

注釈

出典


  1. ^ a b c 中日新聞』2012年8月21日朝刊第二社会面26頁「命を大事に伝える 息子の言葉今こそ 11年前 大津で暴行され死亡 母校のいじめ心痛め」(中日新聞社大津支局・梅田歳晴)
  2. ^ 読売新聞』2012年8月29日大阪朝刊セ滋賀版23頁「命絶った子どもたち生きた証し 次男亡くした○○さん企画 きょうから大津でパネル展=滋賀」(読売新聞大阪本社・大津支社)
  3. ^ 『中日新聞』2012年8月31日朝刊滋賀中日16頁「生きた証しここに 亡くなった子の写真や遺書 大津でパネル展」(中日新聞社大津支局・山内晴信)


「大津市身体障害者リンチ致死事件」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「大津市身体障害者リンチ致死事件」の関連用語

大津市身体障害者リンチ致死事件のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



大津市身体障害者リンチ致死事件のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの大津市身体障害者リンチ致死事件 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS