地球外生命
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/10 03:12 UTC 版)
概要
1970年代から天文学者が主に電波望遠鏡を用いて地球外の知的生命の活動の兆候を探索しているが、未だに地球外生命体の存在は確認されていない。
1787年ころ、イタリアの神父で博物学者のラザロ・スパランツァーニが、「そもそも地球の生命は地球外から来た」とする説を唱えていた。生命の起源が地球外にあるとする説は「パンスペルミア説」というが、こうした説(仮説)は、DNAの二重らせん構造を発見したフランシス・クリックも表明している[4][5]。
十九世紀の観測
アメリカの天文学者パーシヴァル・ローウェル(1855-1916年)は、火星を観測した結果、その表面に「運河」などの人工的な建造物に見える巨大構造があると信じ、火星に文明が存在する証拠だと著作で述べた。サイエンス・フィクションの分野では火星に棲むタコ状(イカ状)の生命体(たこ型火星人)がさかんに描かれたが、これはイギリスの作家H・G・ウェルズが1898年に発表したSF小説『宇宙戦争』によるイメージの定着が発端であるとされる。
1959年、イタリアの物理学者ジュゼッペ・コッコーニとアメリカの物理学者フィリップ・モリソンが、地球外生命に言及する論文を学術誌に初めて発表し(※誌は『ネイチャー』)、「地球外に文明社会が存在すれば、我々は既にその文明と通信するだけの技術的能力を持っている」と指摘した。また、「その通信は電波で行われるだろう」と推論した。この論文は自然科学者らに衝撃を与え、一般人も知的生命体がこの宇宙に存在する可能性について大真面目に語り、様々な憶測、様々な空想が語られるようになっていた。
ドレイクの方程式
1961年にアメリカの天文学者フランク・ドレイクがドレイクの方程式を示し、画期的なことに、可能性・確率について具体的に数値で論ずることを可能にした。我々の銀河系に存在する通信可能な地球外文明の数を仮に「N」と表すとするならば、そのNは次の式で表せる、と述べたのである。
ただし、各変数は下記の通りである。
変数 | 定義 |
---|---|
人類がいる銀河系の中で1年間に誕生する星(恒星)の数 | |
ひとつの恒星が惑星系を持つ割合(確率) | |
ひとつの恒星系が持つ、生命の存在が可能となる状態の惑星の平均数 | |
生命の存在が可能となる状態の惑星において、生命が実際に発生する割合(確率) | |
発生した生命が知的なレベルまで進化する割合(確率) | |
知的なレベルになった生命体が星間通信を行う割合 | |
知的生命体による技術文明が通信をする状態にある期間(技術文明の存続期間) |
1961年にこの式を発表した時、ドレイクは各値に関する推測値も併せて示し、
と計算してみせた。つまりそうした文明の数を10個だと推定してみせたのである。これがまた自然科学者らに大きな衝撃を与えた。SFに登場する「タコ状の火星人」などのイメージの影響(悪影響)で、地球外生命を頭ごなしに否定していた自然科学者でも、この理詰めの式を見せられて、自分たちが思っていた以上に存在の可能性があるのかも知れない、とりあえず調べてみる価値はあるのかも知れない、論理的に考えても存在の可能性を期待してもよいのかも知れない、と考えるようになったのである。このドレイクの式の持つ説得力が、賛同者を増やし、地球外生命の探索のための政府予算を組むことにつながった。
生命の起源に関するパンスペルミア説では、そもそも宇宙には生命の種が満ちており、宇宙のあちこちで生命が誕生している、と考えている。
注釈
出典
- ^ a b c 小学館『デジタル大辞泉』. “地球外生命”. コトバンク. 2020年4月1日閲覧。
- ^ 横尾広光 (cf. researchmap)、小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』. “地球外生命”. コトバンク. 2020年4月1日閲覧。
- ^ a b c d e f “Extra-Terrestrial”. 英辞郎 on the WEB. アルク. 2020年4月1日閲覧。
- ^ Crick 1981.
- ^ クリック 2005.
- ^ a b c d e f g h i j ナショナルジオグラフィック 2016年11月23日 p. 2
- ^ Lowell 1895.
- ^ Lowell 1906.
- ^ Lowell 1909.
- ^ “深海エビ、地球外生命体の鍵を握る? NASA研究”. 日本版CNN (CNN). (2014年11月24日) 2014年12月12日閲覧。
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