典礼 典礼と言語

典礼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/22 02:07 UTC 版)

典礼と言語

典礼で用いる言語や聖書の版などは、それぞれの教会で規定する。教派が大きな枠組みを決めるが、細部は個々の教会の自由に任せられる。カトリック教会等では信者が参加した典礼委員会を組織し、細部を定める。

典礼様式の見直しを大規模に行うことを「典礼改革」という。使用言語、個別の祈祷の取捨選択や整理、聖歌の様式の選択、信者の参加の仕方など、さまざまな要素がからみあう問題であり、多くは数十年のスパンで展開される。

歴史的に、典礼においてもっとも大きな問題のひとつは、言語の問題である。西方教会では古くからラテン語を用いるよう定められ、使用言語を広げることへの抵抗が大きく、キュリロス827年 - 869年)らのスラヴ語訳聖書に対しても当初大きな反対がオーストリア司教らからおこった。一方、伝統的に東方教会は現地語化に向かう傾向があり、聖書の言語であるギリシア語をはじめ、パレスチナ1世紀頃使われていたアラム語と同じ言語であるとされるシリア語、エジプトの言語であるコプト語アルメニア語グルジア語、スラヴ語などさまざまな言語が用いられてきた。ただし古代教会スラヴ語コプト語のように当時は常用された言語があるいは古語となり、あるいは系統の違う他の言語が常用されるようになり、典礼に使用する言語を変更する可能性が議論される場合も出てきている。

西方教会でも宗教改革以降、プロテスタント諸教派は典礼の現地語化をすすめていった。これに対しカトリック教会では、その後もミサの中の説教や聖書朗読を除いてラテン語を用いてきたが、1960年代の第2バチカン公会議でこれを改め、典礼における現地語の使用を積極的にすすめる方針が採用された。ただし、カトリック教会の信徒の一部には、ラテン語典礼への強い志向を持つ者もおり(聖ピオ十世会を興したマルセル・ルフェーブル大司教などのように一時的にローマ・カトリック教会から離れたものもある[7])、彼らの中にはミサをラテン語のみに戻すべきだという意見を持つものもある。


注釈

  1. ^ カトリック教会では、洗礼堅信聖体ゆるし病者の塗油叙階結婚の「七つの秘跡」を定めている。
  2. ^ カトリック教会では、カトリックの洗礼を受けた信者同士の結婚式のみが「結婚の秘跡」に該当し、結婚当事者のどちらか一方がカトリック信者でない結婚式は、秘跡とはならない。

出典

  1. ^ 新村出編『広辞苑 第五版』岩波書店2004、「典礼」
  2. ^ 新村出編『広辞苑 第五版』岩波書店2004、「釈奠」
  3. ^ 用例
  4. ^ 用例
  5. ^ カトリック教会のカテキズムカトリック中央協議会ISBN 487750-1010、337頁
  6. ^ 『カトリック教会の教え』カトリック中央協議会、ISBN 9784877501068、170頁
  7. ^ 世界キリスト教情報■第941信世界キリスト教情報


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