ルッコラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/02 15:43 UTC 版)
名称
日本ではイタリア料理の普及とともに一般に知られるようになったため、園芸分野で広まったロケット(英語: rocket)よりもイタリア名ルッコラの方が知名度が高い。 イタリア語: rucola (ルーコラ)が標準形であり、rughetta, ruchetta (ルゲッタ、ルケッタ) とも呼ぶ。 英語: rocket は フランス語: roquette (ロケット)から来ており、アメリカ英語: arugula はイタリア語の方言形から来ているといわれているが、後者が使われ出したのは20世紀半ば過ぎである。
英語名ロケットはハナダイコン Hesperis matronalis のことを指すこともある。正確には、キバナスズシロ Eruca vesicaria は garden rocket や rocket-salad、ハナダイコンは dame rocket などという。 スズシロとは、ダイコンを意味する。
イタリア語: ruchetta selvatica(「野生のルケッタ」)と呼ばれる別属の野生種ロボウガラシ Diplotaxis tenuifolia とキバナスズシロ Eruca vesicaria はどちらもルッコラやルーコラと呼ぶが、キバナスズシロのみをルーコラ、ロボウガラシをルケッタと区別することもある。
古代エジプトではエスレキンキンとよばれた[4]。
特徴
イタリア料理で馴染みがある香味野菜で、食材としての旬は5 - 7月か11 - 12月といわれており、葉先までピンとして茎がしっかりしたものが市場価値の高い良品とされる[5]。炒りゴマのような風味とほのかな辛みが特徴で[5][6]、成長とともに苦みが強くなる。
栄養的には、可食部100グラム (g) あたりの熱量は19キロカロリー (kcal) で、カルシウム・鉄分・ビタミンC・ビタミンEが豊富で、ビタミンCはホウレンソウの約2倍含まれている[5][6]。辛味成分のアリルイソチオシアネートは抗酸化作用や肌を美しく保つ効果がある[6]。また、アリルイソチオシアネートには抗菌作用があるとされ、がん抑制などの効果があると期待されている[5]。
「キバナ」という和名にもかかわらず、花は白色ないし薄いクリーム色である。
種
系統的にはキバナスズシロ属(エルーカ)には種分化は認められず、1種キバナスズシロ Eruca vesicaria だけが属する[7][8]。
しかし、細分化した種分類も広くおこなわれており、その場合、ルッコラには Eruca sativa の学名が与えられ、この種がキバナスズシロとされる。そのほかの種には、野生種 Eruca vesicaria、北アフリカで栽培されている Eruca pinnatifida があり[9]、さらに多くの種を認める説もある。ただしいずれも、多少風味が違うものの、ルッコラ同様に利用される。
折衷的な説として、ルッコラを亜種 Eruca vesicaria ssp. sativa に分類することもある[10]。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Eruca vesicaria (L.) Cav. subsp. sativa (Mill.) Thell. キバナスズシロ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月15日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Eruca sativa Mill. キバナスズシロ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月15日閲覧。
- ^ a b c 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 176.
- ^ ゲイリー・アレン 著、竹田円 訳『ハーブの歴史』原書房〈「食」の図書館〉、2015年1月21日、54頁。ISBN 9784562051229。
- ^ a b c d e f g 主婦の友社編 2011, p. 241.
- ^ a b c 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 60.
- ^ Flora of China: Eruca
- ^ Flora Europaea: Eruca
- ^ NCBI Taxonomy Browser: Eruca
- ^ ITIS: Eruca vesicaria
- ^ a b c d e 金子美登 2012, p. 162.
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