プライベートブランド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/13 22:50 UTC 版)
具体的には、流通業者の主導権のもとで製造業者などと連携して開発し、生産される独自ブランドの商品を低価格で販売することである。ナショナルブランド(NB)[注 1]の対義語。
PBと略され、別名「ストアブランド」、日本語では「自主企画商品」と和訳される。
概要
商品の種類は、食品・日用品・衣類・家電製品などさまざまであるが、日常的に消費される食品や日用品が多い[1]。
日本の最古のプライベートブランドは、大丸が1959年に発売した紳士服ブランド「トロージャン」で、食品についてはダイエーが翌1960年に発売した缶詰「ダイエーみかん」である[1]。
1960年ごろから大手百貨店やスーパーマーケット、日本生活協同組合連合会がプライベートブランド商品作りに乗り出しているが、当時はナショナルブランド商品に比べて安いものの品質が劣り、経済情勢が悪いときにブームにはなったものの、一般的ではなかった。本格的な立ち上がりは1980年代半ばからで、もともと西友のプライベート商品として始まった「無印良品」の独立、価格破壊の象徴として、ダイエーによる「セービング」商品などが取り上げられるようになり、プライベート商品が一定の地位を得ることになった。
2006年ごろからの石油や原材料の高騰、サブプライムローンを発端とする経済危機によるナショナルブランド商品の価格上昇と、消費者の節約志向の高まりから人気を呼び、「日経トレンディ」の『2008年ヒット商品ベスト30』の1位に「PB(プライベートブランド)」が、日経MJの『2008年日経ヒット商品番付』の西の横綱にプライベートブランドの「セブンプレミアム(セブン-イレブン)」・「トップバリュ(イオングループ)」[注 2]が選出された。2009年以降、大手流通グループでは売り上げに占めるPB商品の比率をより高める方針と報道されている。市場規模は約3兆円(2012年現在)と推定されている[1]。
商品企画・生産
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商品の企画は、チェーンストア・生協などの小売店によるもの、CGC・全日食チェーン・八社会などの複数のチェーンストアによる共同仕入れ組織によるもの、国分・三菱食品などの大手卸売り業者によるものの3種に大別される。
生産
商品の生産・供給には様々な形態がある。
- 生産委託
- 持ち込み企画の生産委託
- 自社ブランドメーカーの受託生産部門
- 受託生産専門メーカー
- ナショナルブランド商品のOEM供給(コントロールドレーベル)
- 持ち込み企画の生産委託
- 自社生産
製造メーカー
1980年代まではブランド力の弱い中小メーカーに委託する場合が多く、品質面で劣る原因の一つでもあったが、近年では大手流通グループと大手ナショナルブランドメーカーと共同で企画・生産する場合が多い[要出典]。これによって、品質面でも安定するようになり、2000年代中盤からのPB商品ブームにつながっている[要出典]。
一部の企業を除いて、商品に関する各種問い合わせ窓口は販売者(小売店)が行うため、製造者(メーカー)は原則的に非公開である[注 3][要出典]。ただし、法令で製造者の記載が義務づけられている商品(酒類、乳製品、アルミ・ステンレス製の鍋・やかんなど)や、プライベートブランドの方針で公開している場合は記載される[注 4][要出典]。特に中身が大手ナショナルブランド商品と同一であったり、メーカーがわかることで消費者の安心感・お買い得感を増させる効果を狙って行うことがある[注 5][要出典]。保存のきく食品の場合は、アフターサービスを考慮して製造を担当したメーカーが問い合わせ窓口になる場合がある[要出典]。
しかし、2013年12月末に発覚したアクリフーズ農薬混入事件では、製造者名の記載のない対象商品の回収に支障を来たしたことで、回収を要する製品が発生した場合の対処方法が問題点として顕在化した[2]。そのこともあり、2015年4月1日よりの食品表示法施行に伴い、ナショナルブランド商品も含めて製造所固有記号の使用は複数の工場で同一製品を製造する場合に限られ、一つの工場でのみ製造している製品は製造者名と製造工場の名称・住所の表示が必要になった(生鮮食品で1年6か月、加工食品で5年の猶予期間あり)[3]。
メリット
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- 消費者側
- ナショナルブランドとほぼ同品質の製品を、より安価に購入できる。
- ナショナルブランドにはない高品質・付加価値のある製品を購入できる。
- 販売側
- メーカー側
- 一定量の販売が確約されることにより、閑散期でも工場稼働率を上げて効率よく生産できるため、コスト削減が可能となる。
- 売上を安定させることでメーカーの経営が安定する。
- ナショナルブランドの開発・売込みの土壌を作ることができる。
注釈
- ^ 家電製品の場合は、プライベートブランド商品に対してナショナルブランド商品のことをプロパー製品と呼ぶことが多い。
- ^ 東の横綱は、プライベートブランドをさらに進化させた形態の製造小売業である、ユニクロ・H&M。
- ^ 販売者としてイオンや日本生活協同組合連合会などの販売元企業とし、製造者と製造工場は製造所固有記号で代替している。
- ^ ダブルチョップ、またはダブルブランドと呼ばれる。
- ^ このような商品を宣伝する際「共同開発」という言葉がよく使われる。
- ^ ユニー兄弟会社のドン・キホーテは「情熱価格」、イズミヤ兄弟会社の阪急オアシスは「阪急の味」を展開している。フジはイオンと提携しているが、当時はトップバリュを販売していなかった。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k 「特集 PB商品の裏側」、『週刊東洋経済』2012年12月22日号、東洋経済新報社、2012年12月、ISSN 0918-5755。
- ^ 他社PB落とし穴 アクリ農薬検出 製造者記載ない商品も - 2014年1月12日 東京新聞
- ^ 食品表示法施行でどう変わる? 食品の表示
- ^ イオン株式会社 2017年2⽉期決算補⾜資料(第92期) - イオン株式会社
- ^ 株式会社セブン&アイ・ホールディングス 2017年2⽉期決算補⾜資料 - 株式会社セブン&アイ・ホールディングス
- ^ スタイルワン
- ^ 株式会社ロジスティクス・パートナー. “ユニー、イズミヤ、フジ/3社協業PB「スタイル ワン」を継続”. 流通ニュース. 2020年11月16日閲覧。
- ^ サークルKとサンクス、ファミマ商品に統一 来春までに - 朝日新聞デジタル 2016年9月15日付記事
- ^ ファミリーマート・サークルK・サンクスの商品統合が完了!~ファミマの人気商品が、全国のサークルK・サンクスでも買える!|ニュースリリース|ファミリーマート - ファミリーマート 2017年02月28日
- ^ “エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社とイズミヤ株式会社の 株式交換による経営統合のお知らせ”. エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社・イズミヤ株式会社(2014年1月31日作成). 2019年5月14日閲覧。
- ^ “株式会社フジとイオン株式会社の資本業務提携のお知らせ”. 株式会社フジ・イオン株式会社(2018年10月12日作成). 2019年5月14日閲覧。
- ^ “ユニー株式会社の株式取得(完全子会社化)の 完了に関するお知らせ”. 株式会社ドンキホーテホールディングス(2019年1月4日作成). 2019年5月14日閲覧。
- ^ “ユニー、イズミヤ、フジ/3社協業PB「スタイル ワン」を継続”. 流通ニュース(2019年4月16日作成). 2019年5月14日閲覧。
- ^ “イオンと資本業務提携したフジが トップバリュと距離を置く理由”. ダイヤモンド・チェーンストア(2019年4月22日作成). 2019年5月15日閲覧。
- ^ “フジ・リテイリング/直営全店で「トップバリュ」導入、PB「Style ONE」終了”. 流通ニュース (2023年3月27日). 2023年3月28日閲覧。
- ^ “フジで「トップバリュ」販売 イオンブランド 9月から”. 愛媛新聞 (2023年3月28日). 2023年3月28日閲覧。
- ^ “パンパシHD、ユニーの新PB開発 「スタイルワン」終了”. 日本経済新聞 (2023年8月23日). 2023年8月24日閲覧。
- ^ プライムワン
- ^ “スマイルライフ”. ライフコーポレーション. 2020年10月4日閲覧。
- ^ 西友 新プライベートブランド『みなさまのお墨付き』を発表 - 西友プレスリリース(2912年12月5日)
- ^ “ファミマ、「お母さん食堂」から「ファミマル」にブランド変更”. 朝日新聞デジタル. (2021年10月18日) 2021年10月19日閲覧。
- ^ ELFINDOLL|西松屋
- ^ コンフェックスグループ
- ^ 社団法人菓子総合技術センター公式ホームページ
- ^ トップバリュ グリーンアイ
- ^ 食品企業におけるPB取組の現状と課題
- 1 プライベートブランドとは
- 2 プライベートブランドの概要
- 3 デメリット
- 4 主なプライベートブランド
- 5 農林水産省による実態調査
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