プッリャ州 行政区画

プッリャ州

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/16 20:19 UTC 版)

行政区画

プッリャ州と各県

プッリャ州は以下の6県からなる。

左端の数字はISTATコード、アルファベット2文字は県名略記号を示す。人口は2012年1月1日現在[1]。面積の単位はkm²。

県名 綴り 県都 面積 人口
071 FG フォッジャ県 Foggia フォッジャ 6,960 625,657
072 BA バーリ県 Bari バーリ 3,821 1,246,742
073 TA ターラント県 Taranto ターラント 2,437 584,229
074 BR ブリンディジ県 Brindisi ブリンディジ 1,839 400,504
075 LE レッチェ県 Lecce レッチェ 2,759 801,170
110 BT バルレッタ=アンドリア=トラーニ県 Barletta-Andria-Trani バルレッタ
アンドリア
トラーニ
1,543 391,770

社会

宗教

かつて古代ギリシアからの移民が植民都市を築き、ローマ時代にはギリシア人が多数を占めたためマグナ・グラエキアと呼ばれた地方の一部にあたる。6世紀から11世紀後半までの大半が東ローマ帝国領であったため、東方正教会コンスタンディヌーポリ総主教庁に帰属した時期があったが、現在はローマ・カトリックの信徒がほとんどである。

対岸のアルバニアからのアルバニア人移民が多い。またサレント半島内のグレチア・サレンティーナ (Grecìa Salentina) と呼ばれる一帯を中心にギリシャ系の住民もいる。

文化

言語

プッリャ州の方言
ナポリ語の方言分布
シチリア語の方言分布
グリコ語が話される地域

2006年の国立統計研究所(ISTAT)の統計によれば、6歳以上の住民の家庭内での会話における言語状況は以下の通り[7]イタリア語Italiano)、地方言語(Dialetto)、他の言語(Altra lingua)についてのデータで、左列が全国平均、右列がプッリャ州の数値である。

家庭内の会話における使用言語 全国
イタリア語のみ、あるいは主にイタリア語 45.5% 33.0%
地方言語のみ、あるいは主に地方言語 16.0% 17.3%
イタリア語と地方言語の双方 32.5% 47.9%
他の言語 5.1% 0.9%

1861年のイタリア統一以来、プッリャ州ではイタリア語が公用語として用いられている。しかし、この地域の長く複雑な歴史を背景として、さまざまな地方言語 (it:Dialetti della Pugliaが話されている。

エスノローグ」ではイタリア語の方言として「プッリャ方言」を掲げつつ、標準的なイタリア語との隔たりが大きいもののひとつとしている[8]。北部と中部の方言はナポリ語の変種、南部の方言はシチリア語の変種とも分類され、こうした言語状況はプッリャ州の西にあるカラブリア州と類似しているとみなされている。

このほかプッリャ州では、ギリシャ語系のグリコ語、アルバニア語系のアルバレシュ語、フランコプロヴァンス語系のファエート語など、いくつかの少数言語が話されている。

プッリャ方言(ナポリ語系)
北部と中部で話されるプッリャ語(プッリャ方言)は、ナポリ語の方言(言語変種)にも分類される(右図参照)。プッリャ方言は、北部のフォッジャ方言(ダウニア方言) (it:Dialetto foggiano、中部のバーリ方言 (it:Dialetto apulo-bareseに大きく分類される。
サレント方言(シチリア語系)
南部のサレント半島では、サレント語 (Salentino dialectが話されており、シチリア語の方言にも分類される。
ターラント方言
ターラント市周辺ではタラント語が話されている。プッリャ方言圏とサレント方言圏の境界付近にあたり、分類については長らく議論の対象となっている。
グリコ語(ギリシャ語系)
サレント半島南部(レッチェ県)のいくつかの村(カリメーラステルナティーアツォッリーノ[8]など)では、ギリシャ語の変種であるグリコ語英語版を話すグリコ人英語版が暮らしている。グリコ語が話される地域はグレチア・サレンティーナ(サレントのギリシャ)と呼ばれる。同様のグリコ語話者コミュニティはカラブリア州南部にも存在する。彼らは、かつてイタリア半島南部にあった大きなギリシャ人コミュニティ(マグナ・グラエキア東ローマ帝国領の名残り)の生き残りである。
ユネスコの「危機に瀕する言語のレッドブック」 (Red Book of Endangered Languagesによれば、サレントのグリコ語の話者は2万人で、危機に瀕する言語(vulnerable から critically endangered(絶滅寸前)までの4段階のうち、3段階目(深刻な方から2番目)の Severely endangered としている[9]
ファエート語(フランコプロヴァンス語系)
フォッジャ県の2つの町(ファエートチェッレ・ディ・サン・ヴィート)では、アルピタン語(フランコプロヴァンス語)の一種であるファエート語(Faetar)が話されている。
「危機に瀕する言語のレッドブック」によれば、ファエート語の話者は600人で、危機に瀕する言語のうち2段階目の Definitely endangered に位置付けられている[10]
アルバレシュ語(アルバニア語系)
アルバレシュ語英語版アルバニア語の変種で、南イタリアにはアルバレシュ語コミュニティが点在する。南イタリア全域におけるアルバレシュ語話者は、「危機に瀕する言語のレッドブック」[11]および「エスノローグ」[8]によれば、8万人ないし10万人。ユネスコは危機に瀕する言語(2段階目 definitely endangered)に指定している[11]

食文化

観光

世界遺産




注釈

  1. ^ 左上から左へガルガーノ(オレンジ)、タヴォリエーレ・デッレ・プーリエ(プッリャ台地=ピンク)、スバッペンニーノ・ダウノ(ダウニア山地=緑)。中央はテッラ・ディ・バーリ(ムルジア=水色)、ヴァッレ・ディトリア(イトリア谷=黄緑)、その内陸がアルコ・イオニコ・タランティーノ地方(紺色)、最南部はサレント半島。

出典

  1. ^ a b c 国立統計研究所(ISTAT). “Total Resident Population on 1st January 2012 by sex and marital status” (英語). 2013年9月4日閲覧。
  2. ^ 2点間の直線距離を測る”. 2014年6月8日閲覧。
  3. ^ リウィウスローマ建国史』31.4
  4. ^ リウィウス『ローマ建国史』34.45
  5. ^ ストラボン『地理誌』6.3.11
  6. ^ Nagle, p. 377.
  7. ^ 国立統計研究所(ISTAT). “La lingua italiana, i dialetti e le lingue stranieri” (pdf) (イタリア語). p. 5. 2012年12月10日閲覧。
  8. ^ a b c Languages of Italy”. ethnologue. 2013年9月5日閲覧。
  9. ^ Griko (Salento)”. UNESCO Interactive Atlas of the World’s Languages in Danger. UNESCO. 2013年9月5日閲覧。
  10. ^ Faetar”. UNESCO Interactive Atlas of the World’s Languages in Danger. UNESCO. 2013年9月5日閲覧。
  11. ^ a b Arbëresh”. UNESCO Interactive Atlas of the World’s Languages in Danger. UNESCO. 2013年9月5日閲覧。


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