デウス・エクス・マキナ 由来

デウス・エクス・マキナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/19 14:48 UTC 版)

由来

由来はギリシア語ἀπὸ μηχανῆς θεός (アポ・メーカース・テス) からのラテン語訳で、「機械仕掛けから出てくる神[1]、あるいは「機械仕掛けの神[2]などと訳される。「デウス・エクス・マキーナ」などの表記もみられるが、ラテン語としては誤りである。通常の複数形は deī ex māchinā(デイー・エクス・マーキナー)もしくは dī ex māchinā(ディー・エクス・マーキナー)であるが、機械にあたる語も複数形になる "... ex māchinīs"「~エクス・マーキニース」というバラバラ感を強調した表現もたまには見られる。また、女神の場合は最初の単語が dea (デア)、複数形 deae (デアエ) となる。

悲劇にしばしば登場し、特に盛期以降の悲劇で多く用いられる。アテナイでは紀元前5世紀半ばから用いられた。特にエウリピデスが好んだ手法である。

エクス・マーキナー(機械によって)とは、この場面において神を演じる役者がクレーンのような仕掛けで舞台(オルケストラ)上に登場し、このからくりが「機械仕掛け」と呼ばれたことによる。由来は、「機械仕掛けで登場する神」ないし、舞台装置としての解決に導く神そのものが機械仕掛けであることとも解される。日本語で思いがけない展開を指す「どんでん返し」(歌舞伎において、大道具の背景を倒し、瞬時に場面転換する「強盗返」から来た)あるいは「超展開」とも発想は類似しているが、これらは物語を解決に導くものだけを指すわけではない。

井上勇創元推理文庫ヴァン・ダイン『ベンスン殺人事件』で、「時の氏神」と翻訳している。


注釈

  1. ^ māchinā(マーキナー)は ex (エクス、「~から」「~によって」等の意味の前置詞)に対応するための奪格の語形。なお māchina(マーキナ)はその主格(つまりデフォルト状態)の形であるから、もしこの文に代わりにこれを入れると全体の文法が成立しない。

出典

  1. ^ デウス・エクス・マキナ」 『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』 2014、Britannica Japan。
  2. ^ 佐々木健一デウス・エクス・マキナ」 『日本大百科全書小学館
  3. ^ 手塚治虫 『漫画の描き方 似顔絵から長編まで』1977年,光文社
  4. ^ What Happened to Deus ex Machina after Euripides?”. ablemedia.com. 2011年10月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月1日閲覧。


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