テオティワカン テオティワカンの概要

テオティワカン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/08 09:51 UTC 版)

古代都市テオティワカン
メキシコ
「月のピラミッド」から望む「死者の大通り」と「太陽のピラミッド」
英名 Pre-Hispanic City of Teotihuacan
仏名 Cité préhispanique de Teotihuacan
登録区分 文化遺産
登録基準 (1), (2), (3), (4), (6)
登録年 1987年
公式サイト 世界遺産センター(英語)
地図
使用方法表示
テオティワカンの位置

概要

テオティワカン人の宇宙観、宗教観を表す極めて計画的に設計された都市で太陽のピラミッド月のピラミッドそして南北5キロにわたる道(「死者の大通り」)が基点となり各施設が配置されている。この都市で祀られた神々は、農業文化と関係深いケツァルコアトルや水神トラロックチャルチウィトリクエ植物の再生と関係あるシペ・トテックなどである。

社会についてはあまり知られていないが、規模から考えると神権的な権威が存在し、高度に階層が分化し、発達した統治組織があったものと推測されている。市内には職人の地区が設けられ、盛んな商業交易の中心地であり、農民たちの巡礼となって集まる信仰の中心地でもあった[3][2]

テオティワカンとは、ナワトル語で「神々の都市」という意味で、これは12世紀頃にこの地にやってきて、すでに廃墟となっていた都市を発見した、メシカ人アステカ人)が命名した。アステカ人はテオティワカンを後々まで崇拝の対象とした。

古代都市テオティワカンとして、1987年世界遺産(文化遺産)に登録されている。

歴史

この地は形成期後期にすでに集落があったが、紀元前50年にテスココ湖の南方に立地したクィクィルコナワトル語: Cuicuilco)がシトレ火山英語版ナワトル語: Xitle)の噴火によって埋まり、またポポカテペトル山も噴火した。このために人々がテオティワカンの地に移住し[4]、テオティワカンは都市として急速に発展した。テオティワカンは西暦紀元前後から7世紀なかばまで都市として使用され、その時期は4期に分けられる[5]

  • ツァクアリ相(1年 - 150年):この時期にテオティワカンははじめて都市として成立し、太陽と月のピラミッドが作られた。
  • ミカトリ相(150年 - 200年):南北を結ぶ道路(死者の大通り)が建設された。
  • トラミモルパ相(200年 - 350年):交通・水利・祭祀・住宅・産業などのシステムが整備された。
  • ショロパン相(350年 - 650年):この時期に人口がもっとも増えた。

テオティワカンは国際的に大きな勢力を持っており、1000キロメートル離れたマヤ地域にも影響は及んだ。378年にはテオティワカン系のシヤフ・カックエル・ペルーティカルに侵入し、ティカルの古い石碑を破壊して新しい王朝を建てた[6]。426年にコパンとその衛星都市のキリグアを建設したのもテオティワカン系の人間だったらしい[7]。テオティワカン様式の芸術は古典期マヤ文明に大きな影響を及ぼした。

都市の面積は約20平方キロメートルで、最盛期には、10万から20万人が生活を営み下水網も完備されていた。しかしながら人口の集中に伴い7世紀にはいると急激に衰退し、やがて滅びを迎えた。衰退の主要な原因としては、火事の発生、漆喰の生産のために木材を大量に燃やして森林破壊が起きた、旱魃による農業の衰退、およびそれらに伴う内乱の発生とメスキタル(イダルゴ州)の狩猟採集民の侵入などがあげられる[8]

主な遺構及び建造物

  • 太陽のピラミッド(高さ65m、底辺222m×225m)
  • 月のピラミッド(高さ47m、底辺140m×150m)
  • 死者の大通り(南北に貫く都市のメインストリート 長さ4km、幅45m)
  • ケツァルコアトルの神殿
  • ケツァルパパロトルの宮殿

  1. ^ 最盛期は200年から550年頃までで、この時期に最大面積23.5平方キロメートル、人口12万5000ないし20万人の大都市となっていた。
  2. ^ a b 増田義郎「先コロンブス期の文化」(増田義郎・山田睦男編『新版世界各国史25 ラテン・アメリカ史Ⅰ』山川出版社 1999年)
  3. ^ 宗教儀式に用いる土器黒曜石の用具、ヒスイなどの石細工品などを大量に輸出していた。
  4. ^ Manzanilla (2001) p.201
  5. ^ Manzanilla (2001) pp.202-203
  6. ^ Martin & Grube (2000) pp.29-31
  7. ^ Martin & Grube (2000) pp.192-193
  8. ^ Stuart (2001) p.203


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