アルドリン アルドリンの概要

アルドリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/23 01:39 UTC 版)

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アルドリン
識別情報
CAS登録番号 309-00-2 
ChemSpider 10292747 
UNII OZE3CLY605 
KEGG C07552 
特性
化学式 C12H8Cl6
モル質量 364.91 g mol−1
外観 無色固体
融点

104 °C, 377 K, 219 °F

への溶解度 わずかに可溶
蒸気圧 7.5 × 10−5 mmHg @ 20 °C
危険性
NFPA 704
0
2
0
引火点 66 °C (151 °F)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

製造

ディールス・アルダー反応によるアルドリンの合成

アルドリンは、ディールス・アルダー反応ノルボルナジエンにヘキサクロロシクロペンタジエンを付加させることによって製造される[3]

同様に、イソドリンとして知られるアルドリンの異性体は、ヘキサクロロノルボルナジエンにシクロペンタジエンを反応させることによって得られる[4]

アルドリンは、この種の反応の共同発明者であるドイツの化学者クルト・アルダーの名前に因んで命名された。1946年から1976年の間に、推定2億7000万kgのアルドリン及び関連シクロジエン殺虫剤が製造された。

土壌、植物表面、昆虫の消化器官の中で、アルドリンは酸化されて、より強い殺虫力を持つエポキシドディルドリンになる。

環境影響と規制

関連するポリ塩素系殺虫剤と同様に、アルドリンは高い脂溶性を持つ。水への溶解度はわずか0.027 mg/Lであり、環境中への残留性を深刻化させている。そのため、アルドリンは残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約で禁止されている。アメリカ合衆国では、1974年に承認を取り消されており、EUでも植物防護への使用が禁止されている[5]

日本でも1970年ディルドリンなどともに農産物から残留農薬として検出されると問題視されるようになった[6]。その後、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 (化審法) 昭和四十八年 法律百十七号 第二条 2により第一種特定化学物質として指定されている[7]


  1. ^ a b Robert L. Metcalf “Insect Control” in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry” Wiley-VCH, Weinheim, 2002. doi:10.1002/14356007.a14_263
  2. ^ 毒物及び劇物取締法 昭和二十五年十二月二十八日 法律三百三号 第二条 別表第二
  3. ^ Jubb, A. H. (1975). Basic Organic Chemistry, Part 5 Industrial products. London: Wiley. ISBN 0-471-85014-4 
  4. ^ Bird, C. W.; Cookson, R. C.; Crundwell, E. (1961). “946. Cyclisations and rearrangements in the isodrin?aldrin series”. Journal of the Chemical Society (Resumed): 4809. doi:10.1039/JR9610004809. 
  5. ^ Chemicals Regulation Directorate. “Banned and Non-Authorised Pesticides in the United Kingdom”. 2009年12月1日閲覧。
  6. ^ ジャガイモにも汚染 ディルドリン『朝日新聞』1970年(昭和45年)10月1日朝刊 12版 3面
  7. ^ 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令 昭和四十九年六月七日 政令第二百二号 第一条 四


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