アウグスト・ロア=バストス アウグスト・ロア=バストスの概要

アウグスト・ロア=バストス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 01:22 UTC 版)

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アウグスト・ロア・バストス
Augusto Roa Bastos
誕生 1917年6月13日 - 2005年4月26日
パラグアイアスンシオン
死没 (2005-04-26) 2005年4月26日(87歳没)
パラグアイアスンシオン
職業 ジャーナリスト劇作家作家小説家
国籍 パラグアイ
主な受賞歴 セルバンテス賞(1989)
ウィキポータル 文学
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生涯

ロア・バストスはパラグアイの首都アスンシオンで生まれ、幼年期をアスンシオンから南200kmのところにある小さな町イトゥルベで過ごした。彼の父親は砂糖の精製業を営んでいた。

1932年にパラグアイとボリビアの間にチャコ戦争が勃発すると、10代だったロア・バストスは学校を中退して、補助の衛生要員として兵士になり、そしてこの期間に彼は残りの人生を強く規定することになる決定的な恐怖を体験した。チャコ戦争終結後、銀行に事務員として務めると同時に、アスンシオンの日刊紙「エル・パイス」紙の記者を務め、その中で映画について書き始めた。第二次世界大戦の間ブリティッシュ・カウンシルによってロンドンに招かれ、ロンドンでエル・パイス紙の戦争特派員を務めた。また戦後は同紙のニュルンベルク裁判の取材員をも務めた。

1947年のパラグアイ内戦中、ロア・バストスはイヒニオ・モリニゴスペイン語版大統領への反対活動により、国外追放に処せられた。彼はアルゼンチンブエノスアイレスに落ち着くと、そこで作品を出版した。その後も長らくアルゼンチンで活動したが、1976年にクーデターが起き、ホルヘ・ラファエル・ビデラ将軍による軍事独裁政権が誕生すると、彼はアルゼンチンを離れてフランスに渡り、南仏のトゥールーズ大学グアラニー語スペイン文学を教えた。

日頃から大嫌いだと公言していたアルフレド・ストロエスネル政権が1989年に崩壊するまで、ロア・バストスは故郷のパラグアイには戻らなかった。ストロエスネルが失脚したのと同じ年に、彼はセルバンテス賞を授与され、レアル・アカデミア・エスパニョーラとそれに対応するラテンアメリカ各国のアカデミーから表彰され、スペイン語文学における彼の突出した貢献が認められた。ロア・バストスはパラグアイに帰国すると、その賞金を未だに教育の普及していない祖国パラグアイの教育識字計画のために使った。2005年、アスンシオンで死去した。享年87。

作品

ロア・バストスの作品で最も有名なものは、1974年に発表されたYo el Supremo(1974年、『至高の存在たる余は』)である。これは独裁者と軍事独裁に正面からぶつかっていったラテンアメリカの小説のうち、最も重要なものの一つであり、そこでは、19世紀のパラグアイにおいて鋼鉄の手腕を持ち、少しの変化もなく26年間政権を握った独裁者ホセ・ガスパル・ロドリゲス・デ・フランシアが描かれている。『至高の存在たる余は』では、本質的に書くことそれ自体の権力(と弱さ)に関心をよせている。中心的な筋をなすのは、首都周辺で発見された一連の作者不明の風刺に誰が独裁者の署名を偽造したかを、その独裁者自身が摘発しようとする試みの循環と、また彼の秘書との関係の循環であり、彼は秘書に対して彼の思想と命令で独裁支配するが、決して秘書を完全に信用できるとは感じていない。 彼の他の著名な作品としては、1860年代から1930年代のチャコ戦争までの政治エリートと抑圧されたパラグアイの間の混乱を描いたHijo de hombre(1960年、『汝、人の子よ』)がある。彼の小説の、前植民地時代から続くインディヘナ神話キリスト教の伝説によって創られる現在と過去の融合のシーンは、特別な種類のレアリスモ・マヒコ(魔術的リアリズム)を開発することにより、彼に抑圧された人々の持つポテンシャルが悲劇的に衰弱することの詩的なイメージを創造させた。

邦訳作品




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