SRBの将来および提案されている使用法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/27 23:18 UTC 版)
「スペースシャトル固体燃料補助ロケット」の記事における「SRBの将来および提案されている使用法」の解説
NASAはSRBの設計や基本構造を、アレス・ロケットに応用する計画であった。2005年には、オリオン宇宙船を地球周回低軌道に乗せ、さらには月に向かわせるためのシャトル派生型運搬ロケットを発表した。アレスIと呼ばれるSRB派生型の有人ロケットは、第一段にはシャトルと同じ4段式のSRBを使用し、第二段にはシャトルのメイン・エンジンを改良したものを一機搭載して、オリオン宇宙船を軌道に乗せる予定であった。 2006年の修正案では第一段に5段式のSRBを導入することは却下されたものの、第二段にはアポロ計画のサターン5型ロケットやサターンIB 型ロケットで使用されたJ-2ロケットエンジンを改良した J-2Xが搭載されることになった。また先端部分はSRBのような円錐形のキャップではなく第二段ロケットとの接続リングになり、そこに レギュラス・ミサイルのものを改良した高度計や、機体を大西洋上で回収するためのより大きくて重いパラシュートが収納されることになっていた。 また2005年に発表された案の中には、アレスVと呼ばれる重量級の運搬ロケットも含まれていた。初期のデザインでは、アレスVは第一段にシャトルで使用されていたSSMEと同じものを5機と、5段式に増強したSRBを2機搭載することになっていたが、その後の変更でメイン・エンジンにはデルタIVで使用されていたRS-68ロケットを流用することになった。NASAとしては、最初は5段式のSRBと5機のRS-68を使用するが(これにより、アレスVの直径は若干大きくなった)、将来的には6機のRS-68B(性能は現行のSSMEと変わらないが、コストは半分になる)と、推力をさらに増強した5.5段式のSRBを使用する予定であった。 改良案によれば、アレスVはサターン5型ロケットやロシアのN-1、あるいはエネルギアなど、これまでに作られたいかなる巨大ロケットよりも大型で強力なものになり、アルタイル宇宙船や地球軌道離脱ロケットを低軌道に乗せることができるはずであった。アレスI の5段式SRBと違い、アレスVの5.5段式SRBは追加された0.5段の部分を除けば、設計や構造などの点で現行のSRBと同一のものである。回収や再使用の方法については最終的な判断はなされていなかったが、シャトルで用いられているのと同様のものが使用され、発射から着水までの軌道は現在と変わらないものになるであろうと予想された。 シャトル技術を応用した最新の「DIRECT案」では、上記のアレスI やアレスVとは違い、現行のシャトルに使用されているものと同じSSMEと4段式SRBを使用することになっていたが、これらはすべてオバマ大統領がコンステレーション計画を中止したことにともない、白紙状態となった。 2011年に発表された新たなシャトル後継ロケットのスペース・ローンチ・システム (SLS) では、初期バージョンであるブロックIにおいて5段式SRBが使用されることが計画されている。
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