スペースシャトル固体燃料補助ロケット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/10 00:46 UTC 版)
スペースシャトル固体燃料補助ロケット(スペースシャトルこたいねんりょうほじょロケット、英語: the Space Shuttle Solid Rocket Boosters, SRBs)は、スペースシャトルの発射時、離床とそこから2分間の間その推力を生む固体ロケットブースターで、2基(2本)ひと組で使用される。[注 1] 発射時には赤茶色の外部燃料タンクの両側に装着され、スペースシャトル全体の推力(つまりオービタが備えるSSMEと当ブースタとを合計した推力)のうち、その83%が当ブースタによるものである。(またその1基の推力を比較した例としては、アポロ計画で使用された史上最大のロケット、サターンVの第一段ではF-1エンジンを5基も使用して発生していた推力の、40%にも相当する)。SRBは固体燃料ロケットとしては史上最大のものであり、また人間が搭乗するロケットに固体燃料が使われるのもシャトルが初めてであった[1]。使用済みの機体はパラシュートで海に着水したあと回収され、点検し、燃料を再充填して再使用される。
注釈
- ^ 「固体燃料推進器 (solid rocket booster, SRB)」と「固体燃料ロケット (solid rocket motor)」はしばしば混同されるが、技術的にはそれぞれ独自の意味を持つ。「推進器」とは、回収用パラシュート・電子機器・分離用ロケット・安全用自爆装置・推力偏向装置などを含むロケット全体の装置を指すのに対し、「固体燃料ロケット」は燃料・外殻・点火装置・ノズルによって構成されるロケットそれ自体を表す。
- ^ 一例を挙げれば、シャトル初飛行のSTS-1で使用された本体下方部分は、その後30年間に6度飛行し、一回の燃焼試験を受け、2009年にはアレスI ロケットの試験飛行でも使用された。アレスI 自体も、シャトルの48回の飛行と5回の地上試験で使用された別々のSRBの部品を寄せ集めて作られたものであった。“NASA Ares I First Stage Motor to be Tested August 27”. NASA (2009年8月17日). 2010年3月29日閲覧。
出典
- ^ “Shuttle Solid Rocket Booster Facts”. NASA. 2010年4月2日閲覧。
- ^ A Horse’s Behind, and Railroad Tracks, オリジナルの2014年8月27日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b “Solid Rocket Booster (SRB) - Evolution and Lessons Learned During the Shuttle Program”. NASA. 2022年2月17日閲覧。
- ^ “Salt Water Activated Release for the SRB Main Parachutes (SWAR)”. NASA (2002年4月7日). 2010年4月2日閲覧。
- ^ “Report of the Presidential Commission on the Space Shuttle Challenger Accident, Chapter IV: The Cause of the Accident”. NASA. 2010年4月2日閲覧。
- ^ “Space Shuttle Challenger Case”. 2010年4月2日閲覧。
- ^ “Orbiter Manufacturing and Assembly”. NASA. 2010年4月2日閲覧。
- ^ "Jerry L. Ross" NASA Johnson Space Center Oral History Project, 26 January 2004.
- ^ Jenkins, Dennis R. "Space Shuttle: History of the National Space Transportation System – The First 100 Flights"
- ^ “NASA and ATK Successfully Test Ares First Stage Motor”. NASA. 2010年3月29日閲覧。
- 1 スペースシャトル固体燃料補助ロケットとは
- 2 スペースシャトル固体燃料補助ロケットの概要
- 3 機能
- 4 チャレンジャー号爆発事故
- 5 製造
- 6 発展型SRB
- 7 SRBの将来および提案されている使用法
- 8 外部リンク
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