麻痺性貝毒原因微細藻とは? わかりやすく解説

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麻痺性貝毒原因微細藻 [Paralytic shellfish poisoning microalgae]

 普段無毒のイガイホタテガイのような二枚貝食べると、突然、体がしびれ、重症場合死に至るような食中毒がおこることがあるこの中毒はそのおもな症状から麻痺貝中毒(paralytic shellfish poisoning: PSP)とよばれ、アメリカ、カナダ北海沿岸諸国古くから多数死者をだして恐れられてきた。現在ではこの中毒は広く世界中分布することが明かにされつつあり、日本でも各地死者を含む数件の中毒事件記録されている。わが国では出荷される貝類毒性検査することが義務づけられており、毒性規制値上回る出荷禁止されている。したがって市場にでている貝類による中毒最近ではおこっていないが、磯遊び採集した貝類漁家自家消費による中毒事故が現在でも相次いでおこっている。貝類毒化による出荷規制期間長期化は、貝類養殖業大きな打撃あたえており、麻痺性貝毒公衆衛生上のみならず産業上も大きな問題となっている。
貝毒本体アルカロイド1種サキシトキシン(saxitoxin: STX)とその誘導体から成り、現在20種を越え毒成分知られている。毒は溶ける無味無臭物質で、われわれが五感でこれを関知することはできない。しかも熱に安定なため通常の調理では無毒化しない。これらの貝毒わが国でよく知られているフグ毒(tetrodotoxin: TTX)と同様の薬理作用をもつので、中毒症状フグ毒による中毒症状似ているまた、中毒対す効果的な治療法はなく、人工呼吸比較効果があるとされている。
このような中毒を引きおこす生物海水中のプランクトン集めて餌とする、いわゆるプランクトン・フィーダーであり、中毒原因はいくつかの植物プランクトン(微細)である。貝類毒化させる微細はアレキサンドリウム属、ギムノジニウム属、ピロジニウム属などの渦鞭毛藻よばれるグループで、このほかに貝類毒化との関係は明らかではないが、淡水性藍藻(藍色細菌)の数種も毒産生認められている。渦鞭毛藻単細胞性で2本の鞭毛で泳ぐが、植物的原生生物の1群とされ、有毒渦鞭毛藻全て光合成色素をもっている。これら渦鞭毛藻多量毒成分をもつため、ごく少量発生しただけでも貝類毒化させる能力がある。したがって、海には一見なんの変化おこっていなくても貝類が毒を蓄積していることがある。この点から貝毒現象赤潮現象とははっきり区別される。これら微細多く環境増殖適さなくなると、休眠胞子つくって海底沈み条件良くなる発芽して、再び増殖するというサイクルをもつので、一度これらが発生した海域では繰り返しその発生みられる場合が多い。一方それぞれの有毒渦鞭毛藻含まれる毒成分誘導体微細種ごとに特徴があり、毒化した貝の毒組成から原因種を推定するともできる有毒渦鞭毛藻分布世界的に拡大する傾向にあるから、今後これまで出現のなかった海域微細種についても注意する必要がある。さらに原因微細における毒成分産生されメカニズム毒成分生物学的な意味についてはまだ不明な点が多く研究の進展望まれている。




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