議事の進行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/30 01:32 UTC 版)
欧州議会議員の1年間は、委員会における報告の議論や各国議会代表団の会合に参加する週、所属会派の活動について議論する週、ストラスブールで3日半の間で開かれる本会議に出席する週の繰り返しである。これらに加えて年間で6回、ブリュッセルにおいて2日にわたって開かれる本会議にも出席する。このほかにも4週をそれぞれの選挙区での活動に専念する時間としてあてられる。ただし夏期においては会議の開催が設定されていない。欧州議会はほかの機関の権限でもって招集されることなく会議を開く権利を有している。欧州議会の会議は基本条約によって規定されている部分もあるが、それ以外の部分では独自の議院規程に従って開かれる。 本会議において、議員は1分間という制限つきで議長の指名を受けて発言することができる。また理事会の代表者や欧州委員会の委員も審議に出席して発言することができる。翻訳の必要があることや会議では総意をまとめるという欧州議会の性質があることなどから、議論はウェストミンスター・システムよりも穏やかで丁寧なものとなっている。採決はおもにサムズアップ・サムズダウンで行なわれ、求められれば電子投票が実施される。いずれの方法を採った場合でも個別の議員の賛否は記録されないが、氏名点呼投票を実施した場合には記録が残る。氏名点呼投票は議員の氏名がアルファベット順で読み上げられ、それに対して議員が賛否を表明するものであるが、重要な採決や議員全員の5分の1が求めたときにのみ実施される。また氏名点呼投票は議長の選出などで実施されるが、秘密投票が徹底されている。記録されたすべての採決は議事録や採決された法令とともに欧州連合官報に収録されている。採決はたいていの場合において個別案件の審議の直後に行なわれるものではなく、火曜日、水曜日、木曜日の正午にまとめて実施される。これは採決にどれだけの時間を要するかが予測できにくく、予定時間よりも長引くようなことがあればその日に行なわれることになっている議論や会議ができなくなることがあるためである。 本会議場における議員の席は所属する会派によって決められている。ただし一部の小規模会派は議場外周に配置されている。すべての席にはマイクと翻訳ヘッドフォン、電子投票装置が備えられている。会派の代表は中央の正面ベンチに座り、中心には来賓演説者用の演壇がある。議員の席に相対する側は段差がつけられ、その上には議長や議会職員の席がある。議長席と議員席の間には会派代表が座るのとは別のベンチが置かれており、左側は理事会の代表者、右側は欧州委員会の委員が座る。ブリュッセル、ストラスブールの本会議場はほぼ同じ配置となっている。また本会議場は、異なる会派が正面で向き合う形となっているイギリスのものと、半円形となっているフランスのもの、横列の議員が演壇と向き合う形となっているドイツのものの要素を取り込んだ設計が施されている。本会議場はほぼ半円形であるものの、政治志向が正反対である議員は正面で向き合う形になっている。院内への入場は制限されており、入口は門衛によって管理されている。この門衛は文書を渡すなど院内にいる議員の補助を行なうほかに、会議を妨害する議員を退場させるなどの秩序維持の行動も行なう。欧州議会の初代の儀典長はフランス人であったため、欧州議会の多くの職務はフランス革命以降に発達してきたフランス風の様式で行なわれている。欧州議会には黒の燕尾服、銀の鎖を着用している180人の門衛がいる。また議長には専属の守衛が付いている。
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