虎穴に入らずんば虎児を得ずとは? わかりやすく解説

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虎穴に入らずんば虎児を得ず

読み方:こけつにいらずんばこじをえずこけつにはいらずんばこじをえず
別表記:虎穴に入らずんば虎子を得ず不入虎穴焉得虎子

虎穴に入らずんば虎子を得ず」とは、「あえて危険を冒さなければ成功手に入らない」「望む物を手に入れるためには身を危険に晒すことも必要だ」という意味の故事成語である。「虎穴虎子(こけつこし)」ともいう。「ハイリスク・ハイリターン」とも言い換えられる。

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の意味

虎穴に入らずんば虎子を得ず」の「虎穴(こけつ)」とは、虎がねぐらとしている洞穴のことである。虎が休息を取るための場所であり虎のテリトリーなわばり)である。

同じく虎子(こじ)」とは、虎の子幼獣)のことであり、「非常に手に入れくいもの」および「非常に大切なもの」のたとえである。

虎穴うかつに侵入し、虎の親(成獣)に出くわしたなら、ひとたまりもない。しかし、そのリスクを取らなければ虎子手に入れることはできない

要するに「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は、「ハイリスク背負ってハイリターンを得る」「ハイリターンを得るにはハイリスクを負う必要がある」という趣旨比喩的な表現である。

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の語源・由来

虎穴に入らずんば虎子を得ず」とは、中国の歴史書である「後漢書」の班超伝に登場する漢の武将班超自分部下向かって発した言葉。漢の時代軍人であった班超皇帝明帝命令によって鄯善(ぜんぜん)国に使者として派遣された。鄯善国到着した当初の頃は班超たちは丁重な扱い受けていたのだが、次第冷遇されようになった。どうしてなのだろうと不審感じて詳しく調べてみた所、当時、漢と敵対していた匈奴きょうど)という国も同じく使者として鄯善国滞在していたことが発覚。実は、鄯善国の王はどちらの属国になるのか真剣に迷っていたのだが、大軍押し寄せてきた匈奴にどうやら気持ちが傾むきかけているようだ分かった。そのため、班超を含む漢の兵士たち鄯善国の王が匈奴寝返った挙句自分たちは一人残らず殺されてしまうかもしれないと強い不安を抱えようになった

このまま何もせずに過ごしているだけでは自分たちは殺される運命だと思い、漢の武将である班超匈奴と戦うことを決意する。ただ匈奴軍勢は漢よりもかなり多く戦い真っ向から仕掛けたとしても圧倒的に匈奴の方が有利という状況。そのため、漢の兵士たち班超敵陣を討つつもりだと宣言した際にはひどく動揺して士気大きく下がってしまった。漢の兵士誰もが勝てわけないだろうと思い悲観的な気持ちだった。このように士気下がったままの状態では、とても強国である匈奴に勝つことはできない。そんな部下向かって班超は「虎穴に入らずんば虎子を得ず匈奴連中夜襲仕掛けよう」と語って部下勇気づけたとされる班超部下鼓舞した結果、漢は百名上もの匈奴の軍を相手半分下の人数で全滅させることができた。匈奴の軍が寝静まってから夜襲によって宿舎火を放ち皆殺しにしたのである。その翌日匈奴使者生首を王の前に差し出し鄯善国服従させることに成功した。この話から、「危険を敢えておかさなければ大きな成功を得ることはできないと言う意味の「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という言葉誕生したと言われる

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の熟語・言い回し

君子危うきに近寄らず 虎穴に入らずんば虎子を得ずとは


虎穴に入らずんば虎子を得ず」の反対言い回しとして、「君子危うきに近寄らず」という故事がある。そもそも君子」というのは、貴人高位高官の人、学識人格優れた人物のことを指す。すなわち、教養高く人格優れた者は言動を慎むことから、自らわざわざ危ない場所に近づいて災いを招くような馬鹿な真似はしないという意味がある実際事件や事故詐欺などに巻き込まれる人のほとんどは自ら危険な場所に近づいてしまうことが多い。その点、頭の賢い人は、危険な所にうっかりと足を運べどのような状況になるのか事前に察知できるので下手な行動はしないということ。この「君子危うきに近寄らず」というのは、何も考えず行動する危険な目に遭ったり、騙され痛い目遭ったりする可能性が高いと注意喚起をする時に使われるケースが多い。あるいは、自分都合悪いこと苦手なことがある際、それらを避けるための口実として用いられることもある。また、ほぼ同じ意味の言葉として「聖人危うき近寄らず」「賢人危うき見ず」という故事もある。

一方の「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という故事は、目の前の危険を避けていては大きな成功を収めることはあり得ないという意味。この場合入っていく虎穴があること、その中に虎子がいるのをきちんと把握していることが前提。すなわち、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は「虎子」という成果を得るためには危な虎穴に入るだけの価値があることを伝えている。また、虎穴に入らずんば虎子を得ず」は大きな利益を得るためには相応リスクを取ることが必要という意味で、むやみに危険を冒すことを勧めているわけでは決してない。

君子危うきに近寄らず」は何も考えず危険な場所に自ら飛びつく災いを招く恐れがあるという意味、一方の「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は成功を収めるためには危険を冒さなければいけないという意味があるそれぞれ相反する味がある故事として、一緒に用いられるケースが多い。

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の使い方・例文

・「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という故事のように、安定した収入毎月得られる今の職場捨ててでも自分本当にやりたい作家という職業挑戦して成功つかみ取りたいと考えている。
・「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という言葉通りこれから自分興味のあることに頑張って挑戦して夢を実現させたいと真剣に思っている。
・彼は今までずっと苦労もせずに楽な道ばかりを選び続けていたのだが、自分人生変えるためには「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の精神思い切って挑戦しなければいけないことに気がついたようだ
自分会社立ち上げて数年経った現在、何事もうまくいかず今までで一番の深刻な苦境に陥っているが、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」だと言い聞かせて自分奮い立たせた。
・彼女とはこのままの関係で良いではないか長年思ってきたが、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という故事を胸に秘めて彼女の両親勇気振り絞って結婚の挨拶に行くことを決意した
・もしもこのチャンス逃してしまったらすべてが台無しになってしまうことから諦めかけていたが、貪欲に挑戦をしていかない大成功収めることも有り得ないので「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の気持ちでいちかばちか勝負をしてみようと思った
・「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という故事通り、自ら幸せな人生を手に入れるために大失敗をするリスク覚悟して勇気振り絞ってやってみることにした。
我が社大切な取引先何を考えているのか一切把握できなかったため商談進めていくのはかなりリスクが高いが、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という言葉を胸に突き進んでみた。
ライバル会社との競争では全く勝ち目はなかったが、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という言葉のごとく、成功勝ち取るために最後まで頑張ってみようと固く決意した
今までビジネス大きな業績上げてきた方々は、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という故事座右の銘にして奮闘してきた人が少なくないだろう。
・ちょっとの失敗怖気づいて後退してしまったら決して私は将来的大成することはないだろう思い、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の意気必死にこれから頑張っていくことにした。
昨日会社ミーティング想定外ピンチに陥ってしまったが、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」だと自らを鼓舞して懸命に耐えた。
・「虎穴に入らずんば虎子を得ず」を座右の銘にして、誰にも真似できないような希少性の高い写真撮影するために戦場思い切って赴くことに決めた

「虎穴に入らずんば虎児を得ず」の例文・使い方・用例・文例

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