構造計算書偽造問題
耐震偽装問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/05 08:04 UTC 版)
2005年に発覚した構造計算書偽造問題を受けて調査していた国土交通省は、2007年1月25日に富山市の設計事務所が構造計算を担当した京都駅周辺のアパホテル2棟に国土交通省の定める耐震基準の7割から8割程度の耐震性しかないことを発表した。京都市は構造計算書偽造が発覚した市内2棟の使用禁止命令を出したが、M設計士は「京都市の計算が間違っていて、私どもの計算には自信がある」と構造計算書の偽造を否定している。同日、アパグループはCEO・元谷とアパホテル社長・芙美子が会見を開き、「このようなことになって申し訳ありませんでした」と釈明した。京都市は同年2月1日、問題としたホテル2棟への立ち入り調査を実施した。 なお、2006年2月にアパグループが事業主として富山市の同設計事務所が構造計算書を作成した千葉県成田市と埼玉県鶴ヶ島市の多棟型大型マンションについて、建築確認を行ったイーホームズ社長の藤田東吾が再検査の結果偽装の疑いがあると自治体に内部告発し、工事が中断されていた。その後、同年6月以降、朝日新聞やJ-CASTニュースなど一部メディアの報道で明るみに出た。この件についてアパグループは「藤田を名誉毀損で告訴することを検討している」というコメントを発表した。 国土交通省の指示のもと同事務所が担当した物件の調査を自治体が進めた結果、2007年3月までに京都市のホテル2物件のほか、複数の物件においても耐震強度や門柱の強度の不足が確認されため、補修工事が行われることになった。 同年2月21日、京都市によってアパグループによる耐震補強計画が承認され、翌22日より改修工事が開始された。この工事により建築基準法に適合したと確認され、同年3月31日、4月2日にそれぞれ営業を再開した。 また、藤田が指摘したマンション2物件のうち埼玉県鶴ヶ島市の物件は構造計算の検証ができないことを理由に三分の一程度の建築が進んだ状態で解体され、事業から撤退。その後長谷工コーポレーションと東武鉄道が土地を買収し、2012年に分譲マンションが再建築された。 耐震強度偽装問題によって300億円の銀行融資引上げにあい、保有していた土地の売却を余儀なされるも、翌年発生したリーマン・ショックによって値下がりした土地を大量に購入し大躍進を果たすという怪我の功名となった。なお、都内のアパホテルでは初の大浴場を備えた最大規模の店舗であった2005年開業の「アパホテル <日本橋駅前>」は耐震強度は満たしてはいたものの門柱の強度の不足により一時休業。のち再開されたが、東京日本橋タワーへの再開発を理由に住友不動産に売却され、2010年3月で営業を終了し、わずか5年で解体されている(跡地は東京日本橋タワーに転用)。
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