省エネルギー政策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 04:48 UTC 版)
「ジェボンズのパラドックス」の記事における「省エネルギー政策」の解説
持続可能エネルギー 再生可能エネルギーバイオマス 地熱 水力 太陽 潮力 風力 省エネルギーコジェネレーション 地熱 緑の建築 持続可能交通(英語版)低公害車 バイオ燃料 電気自動車 プラグインハイブリッドカー 環境ポータル 表 話 編 歴 ジェボンズは、燃料効率の向上は燃料使用の減少ではなく増大をまねく傾向にあると警告した。これは燃料効率の向上が無価値であるという意味ではない。燃料効率の向上は生産力と物質的生活水準の向上を可能にする。例えば、より効率的な蒸気機関は物資や人員の輸送コストを下げ産業革命に貢献した。一方で、Khazzoom-Brookes 仮説が正しければ、燃料効率の向上では化石燃料の枯渇度合いを減らすことはできない。 ジェボンズのパラドックスはときに省エネが無駄との主張の根拠に使われることがある。例えば、石油をより効率的に使用したとしても、それは需要の増加を招き、ピークオイル到達を遅らせるものではない。この主張は通常環境政策を強制したり燃料効率性を向上させるべきでないとする理由としてあげられる(例:もし車が今より効率的になれば、乗る機会も増えてしまう)。この主張に対してはいくつかの問題点があげられる。第1に、先進国における石油市場など成熟した市場では直接的リバウンド効果は通常小さいため、燃料効率の向上は資源利用の減少をもたらすのみで、他の条件は変化しない。第2に、仮に燃料効率の向上が燃料使用量全体の減少に結びつかなくとも、燃料効率が上がることに付随して他の利便もある。例えば、燃料効率の向上は、ピークオイルに付随して起こる燃料価格上昇を和らげ燃料不足や混乱を軽減し得る。第3に、環境経済学者が指摘するように、政府による何らかの干渉(例えば環境税など)がある場合、燃料効率が上がってもコストは同額あるいは高額になり、燃料使用量は減少する。 ジェボンズのパラドックスは、燃料効率を上げるだけでは燃料使用量を下げることはできず、環境エネルギー政策に効果をもたせるためには政府は環境税など他の政策を併せて運用する必要があることを示している。。ジェボンズのパラドックスが当てはまるのは、燃料効率を高めるような技術的進歩だけであるので、同時にコストを増加させるような保護基準を強制すれば、効率の向上が逆説的に燃料使用量を増やす原因にはならない。技術進歩による効率向上を、実効性をもって燃料使用量削減につなげるためには、環境税、キャップアンドトレード、燃料税(英語版)を高く設定するなど、需要を押し下げるような政府の介入が不可欠である。環境経済学者のマティース・ワケナゲル(英語版)とウィリアム・リース(英語版)は、効率性向上による費用の節約分は「税で相殺されるか、または経済循環の中で取り除かれる方がよい。できれば自然資本の回復に充てられるべきだ」と述べている。生態学的に持続可能な活動を促進するための政府介入も、その経済的負担を緩和すれば介入そのものがより受け入れやすいものになり、より実施可能性がより高まるかもしれない。
※この「省エネルギー政策」の解説は、「ジェボンズのパラドックス」の解説の一部です。
「省エネルギー政策」を含む「ジェボンズのパラドックス」の記事については、「ジェボンズのパラドックス」の概要を参照ください。
- 省エネルギー政策のページへのリンク