用地買収問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 00:35 UTC 版)
2016年(平成28年)11月4日、防衛省による用地買収について、土地所有者のタストン・エアポート社との契約に目途が立ったことが明らかになった。その一方で2018年6月27日、タストン・エアポート社の債権者が東京地方裁判所に破産手続開始の申立てを行ったことが複数の報道機関で報じられた。東京地裁は6月15日付で保全管理命令を出し、会社側の意見も聞いた上で破産手続き開始の可否を判断するとしていた。防衛省は破産手続きが進めば競売が行われる可能性が高いとみて購入額を精査する作業に入っており、競売になれば「防衛省が想定する価格で買収できる」(政府高官)との指摘が出ていた。2018年(平成30年)10月22日、タストン・エアポート社の破産手続開始の申立てを行っていた債権者が申し立てを取り下げ、同社の破産が回避される見通しになった。 2019年(平成31年)1月9日、政府は160億円で馬毛島を自衛隊訓練場として買収し、2019年(平成31年)3月末までに取得することで地権者と大筋合意した。その後地権者側の間で開発会社の代表権などをめぐる法的な争いが生じ、契約ができず、3月末には買収が不透明になっていると報じられた。2019年(令和元年)5月7日、タストン・エアポート社は防衛省に対し、いったん馬毛島の売却交渉の打ち切りを通告したが、2019年11月29日、防衛省と地権者側が、約160億円の売買契約の合意に至ったと報道され、12月3日に河野太郎防衛相が記者会見で大筋合意に至ったと述べた。 2021年4月16日、馬毛島の漁業者らが地権者の開発会社を相手取り、買収した土地の登記抹消手続きをするよう求めていた訴訟について、最高裁は漁業者側の上告を退ける決定した。 2021年5月27日、馬毛島の大半を所有していた開発会社タストン・エアポート社の実質的なオーナーの立石勲が老衰で死去した。88歳だった。 2022年1月24日、立石建設グループのタストン・リサイクル社が債権者より破産を申し立てられ、東京地裁から破産開始決定を受けた。 2022年1月26日、防衛省は、馬毛島基地整備の影響を調べる環境影響評価(アセス)の途中段階で、航空機の管制塔や燃料貯蔵施設建設など計13件の入札を公告して、基地本体工事の発注をした。 2022年1月28日、防衛省は、地元の漁師が「漁に影響が出る」などとして、県が出した調査許可の取り消しを求める訴えを起こしていたが、馬毛島周辺での自衛隊基地整備に向けたボーリング調査を終了した。 2022年2月3日、八板俊輔市長が防衛省へ訪れて、岸信夫防衛相に要望書を手渡し、馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画に「同意できない」と反対姿勢を示してきた賛否や自身の立場を表明することを避け、事実上の「黙認」に転じた。 2022年2月4日、西之表市の市民団体「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」は、野党国会議員でつくる沖縄等米軍基地問題議員懇談会が開いた国会内での集会で、馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画の撤回を求め戸別訪問やインターネットで集めた署名2万4349筆を防衛省職員に手渡した。 2022年2月5日、防衛省が、昨年末、馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練と自衛隊基地整備計画を進める種子島1市2町への米軍再編交付金について、2022年度から10年間で総額290億円超とする案を地元関係者へ非公式に伝えていたことが分かった。 2022年2月8日、衆院予算委員会で、共産党議員により、2019年12月に政府が地権者から島の6割を買収した際に約45億8800万円を支払い、このうち約8割の約35億5000万円は「造成費」として上乗せされていた可能性があることが、独自に入手した資料として提示され、地権者の造成自体に違法性があり「買収費を不当にかさ上げしている」と批判の上、情報開示を求められ、買収当時の政府と地権者側の交渉担当者は、ともに上乗せを認める証言をしており、文書はこれを裏付けており、地権者の造成は違法の恐れが指摘されていたが、政府は早期移転を強く求める米側の圧力に屈して、巨額の予算支出を決めた疑いが強まっている。 2022年2月12日、市民団体が、岸信夫防衛相が鹿児島県の塩田康一知事を訪ねるのに合わせ、鹿児島県庁前で緊急抗議集会を開いた。 2022年2月20日、市民団体が、八板俊輔市長と市民会館で面会して双方の直接対話するも、八板俊輔市長が岸信夫防衛相に提出した要望書を巡り、市民団体側は「容認、黙認に転じた」との疑念を拭えず、「市長をこのまま信じていいのか」と足並みの乱れも目立ち、今後どう対応していくのか意見を集約できない状況が続き、八板俊輔市長と反対派市民団体との間に溝が生じている。 2022年2月21日、地元漁業者10人が、鹿児島地裁に申し立てた、西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画に伴う防衛省のボーリング調査を鹿児島県が許可したのは違法だとして、許可取り消しを求めた訴訟と執行停止を、いずれも取り下げると明らかにした。。 2022年2月24日、八板俊輔市長は、市議会定例会で所信表明し、馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画についての是非には触れなかった。 2022年2月28日、市民団体は、八板俊輔市長が岸信夫防衛相に提出した要望書に対して、計画不同意の立場を貫くように改めて求める抗議声明を発表した。 2022年3月28日、防衛省が、馬毛島の大半を所有していた開発会社タストン・エアポート社の権利をめぐり、東京地方裁判所による仮処分命令に基づき、債権者として処分禁止仮処分の登記をした。
※この「用地買収問題」の解説は、「馬毛島」の解説の一部です。
「用地買収問題」を含む「馬毛島」の記事については、「馬毛島」の概要を参照ください。
- 用地買収問題のページへのリンク