現行水滸伝との比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/02 08:51 UTC 版)
宋江が九天玄女廟で発見した天書に書かれた36人の名の一覧は、ほとんどが現行の水滸伝の重要人物と重なる。ただし、本文中に出てくる人物と、この一覧表とでは以下のような差異がある。 本文中に「阮通」とある人物が、一覧では「阮小五」になっている。 本文中に「関勝」とある人物が、一覧では「関必勝」になっている。 本文中には「一丈青・張横」とある人物が、一覧には入っていない。 一覧に「九紋龍・史進」「入雲龍・公孫勝」「浪裏白条・張順」「行者・武松」「拚命三郎・石秀」とある人物が、本文中には登場しない。そのうちの4人が宋江が伴ってきた9人のうちの残り4人で、1人が「一丈青・張横」に当たると考えるのが素直な読み方ではあるが、確証がない。(下の「一丈青」に関する註を参照。また、下の参考文献の訳者はその註の中で、「この項に挙げてある人数には解しかねるものがある。」としている。) 『宣和遺事』における一覧と『水滸伝』第71回における一覧(→水滸伝百八星一覧表)との比較は以下の通り(異なる部分を太字としている) 宣和遺事水滸伝席次あだ名名前席次あだ名名前- 宋江 1 呼保義 宋江 1 智多星 呉加亮 3 智多星 呉用 2 玉麒麟 李進義 2 玉麒麟 盧俊義 3 青面獣 楊志 17 青面獣 楊志 4 混江龍 李海 26 混江龍 李俊 5 九紋龍 史進 23 九紋龍 史進 6 入雲龍 公孫勝 4 入雲龍 公孫勝 7 浪裏白条 張順 30 浪裏白跳 張順 8 霹靂火 秦明 7 霹靂火 秦明 9 活閻羅 阮小七 31 活閻羅 阮小七 10 立地太歳 阮小五 29 短命二郎 阮小五 11 短命二郎 阮進 27 立地太歳 阮小二 12 大刀 関必勝 5 大刀 関勝 13 豹子頭 林冲 6 豹子頭 林冲 14 黒旋風 李逵 22 黒旋風 李逵 15 小旋風 柴進 10 小旋風 柴進 16 金鎗手 徐寧 18 金鎗手 徐寧 17 撲天鵰 李応 11 撲天鵰 李応 18 赤髪鬼 劉唐 21 赤髪鬼 劉唐 19 一直撞 董平 15 双鎗将 董平 20 挿翅虎 雷横 25 挿翅虎 雷横 21 美髯公 朱同 12 美髯公 朱仝 22 神行太保 戴宗 20 神行太保 戴宗 23 賽関索 王雄 32 病関索 楊雄 24 病尉遅 孫立 39 病尉遅 孫立 25 小李広 花栄 9 小李広 花栄 26 没羽箭 張青 16 没羽箭 張清 27 没遮攔 穆横 24 没遮攔 穆弘 28 浪子 燕青 36 浪子 燕青 29 花和尚 魯智深 13 花和尚 魯智深 30 行者 武松 14 行者 武松 31 鉄鞭 呼延綽 8 双鞭 呼延灼 32 急先鋒 索超 19 急先鋒 索超 33 拚命三郎 石秀 33 拚命三郎 石秀 34 火船工 張岑 28 船火児 張横 35 摸著雲 杜千 83 摸着天 杜遷 36 鉄天王 晁蓋 - 托塔天王 晁蓋 現行の水滸伝と比較して、以下のような違いが見られる。 『宣和』では、宋江が36人の中に入っておらず、「宋江と36人」で総勢37人となっている。『水滸』では、宋江は天罡星(上位幹部)36人の中の筆頭となっている。 『水滸』では、これらのほかに地煞星(下位幹部)72人の計108人の頭領がいる。 『宣和』では、すでに死亡した晁蓋が36人の中に入っている(しかも最下位)が、『水滸』ではやはり早く死亡した晁蓋は36人の中には入っていない(36人の上に位置する番外扱い)。 『宣和』で36人中に入っている孫立、杜千(杜遷)は『水滸』では地煞星に地位を落としている。 いっぽう『水滸』で天罡星の中にいる解珍・解宝らは『宣和』には登場していない。ただし『宣和』以前の宋末元初に成立したと思われる龔世与(きょうせいよ)の「宋江三十六人賛」(これも水滸伝成立史の重要な史料である)の中には、解珍・解宝の2人は入っている。 『宣和』で「張青」とある人物は『水滸』では「張清」となっている。一方で『水滸』では新たに「張青」(第102位、あだ名は菜園子)という人物が全く別に登場している。 『宣和』で本文中に登場しながら一覧にいない「一丈青・張横」という人物は、『水滸』の「船火児・張横」との関連を思わせる。しかし『宣和』の方には「火船工・張岑」という人物がおり、あだ名から考えるとこちらの方が近い。いっぽう『水滸』では「一丈青」というあだ名を持つ「扈三娘」(第59位)という人物が別に登場している。
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