物語のプロット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 14:51 UTC 版)
『老人と海』の物語はきわめて単純で、キューバに住む一人の老漁師が84日間もの不漁の後、巨大なカジキを3日間にわたる死闘の末に捕獲するが、その後にサメに襲われ、獲物を食い尽くされてしまうという話である。作品のプロットとしては、以下大きく5つの部分に分けることができる。 前日:プロローグ。キューバのハバナに暮らす老漁師サンチャゴは、84日間一匹も魚が獲れない日々が続いていた。老人を慕う少年マノーリンは老人とともに漁に出ていたが、両親の言いつけにより心ならずも別の舟に乗るようになっていた。老人は眠り、好きなライオンの夢を見る。 第1日:早朝、老人は少年に見送られながら一人小舟を操って海に漕ぎ出す。沖に出た老人は明るくなる前に釣り綱を下ろす。昼ごろに当たりが来て、大物の手応えがあった。老人は綱を背中に回して踏ん張る。しかし、大魚は夜になっても小舟を曳きながら沖に向かって泳いでいく。 第2日:大魚は小舟を引き続けている。根比べの最中、小鳥に気を取られた老人は、急に深く潜った大魚によって小舟の上に引き倒され、手を傷つけてしまう。綱を支えていた左手が痙攣を起こし、老人を悩ませる。大魚が水面に姿を見せるが、すぐに水中深く潜ってしまう。午後になり、老人の左手の痙攣が収まる。夕暮れ時、別の釣り綱にシイラが食いつき、老人は右手で大綱を支えながら左手で釣り上げる。日が沈むと、老人はしばらくの間まどろみ、イルカの群れや村の自分のベッド、そしてライオンの夢を見る。 第3日:大魚が前進を止めて旋回を始める。老人は綱をたぐるが、疲労で気を失いかける。3度目の旋回から大魚が水面に浮かび上がる。老人は意識もうろうとなりながらも、力を振り絞って大魚に銛を打ち込む。大魚は一度跳ね上がって水中に潜り、やがて腹を見せて浮かび上がる。老人は仕留めた大魚を舷側に結びつけて帰路につく。しかし、大魚の血の匂いを嗅ぎつけたサメが次々に襲撃してくる。老人は必死に防ぐが、格闘のうちに銛を取られ、オールに結びつけたナイフも失う。夕暮れが迫る。老人はサメを舵棒で打ちまくるが、大魚のほとんどを食いちぎられてしまう。真夜中過ぎに老人は港にたどり着く。やっとの思いで這い上がり、小屋にたどり着くと、ベッドにうつ伏せになって眠りに落ちる。 第4日:エピローグ。朝、少年が小屋をのぞくと老人は眠り込んでいた。老人の両手の傷を見て、少年は泣き出す。港では、漁師たちが老人の小舟のまわりに集まって、骨ばかりになっていた大魚の長さを測っていた。少年はコーヒーを老人のところへ運ぶ。目を覚ました老人はコーヒーを飲みながら、少年とまた一緒に釣りに行くことを約束する。少年に見守られながら老人はまた眠り、好きなライオンの夢を見る。
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