爆弾低気圧
ばくだん‐ていきあつ【爆弾低気圧】
爆弾低気圧
爆弾低気圧(猛烈低気圧)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 23:07 UTC 版)
爆弾低気圧 ("bomb" cyclone) とは、急速に発達し、熱帯低気圧(台風)並みの暴風雨、または暴風雪をもたらす温帯低気圧を指す俗語。1980年にMITの気象学者フレデリック・サンダース (Frederick Sanders) らが存在を提唱して以降、様々な気象学者がその定義や解析を試みているが、「12時間以上にわたって中心気圧が1時間あたり1hPa以上低下した温帯低気圧」を指すことが多い。熱帯低気圧の急発達は一般的なため、爆弾低気圧とは呼ばない。 高緯度であるほど発生頻度が高い傾向にあるため、高緯度ほどコリオリの力の増大により同じ気圧傾度でも地衡風の風速が弱いことを考慮して、時間あたりの低下気圧に (sinφ/sin60°) を掛けて緯度補正を行う定義も用いられることがある(φ=緯度)。たとえば北緯40度(日本でいえば秋田県男鹿市)の上空での場合、24hPa×sin(40°)/sin(60°)=約17.8hPaの気圧が24時間以内に低下した場合に爆弾低気圧と呼ばれるようになる。但し日本の気象庁は予報用語の中で「使用を控える用語」と分類し、「急速に発達する(した)低気圧」などと言い換えるとしている。また、NHKでは、前記のほか「猛烈に発達する(した)低気圧」などと表現する事もある。読売新聞は2013年1月に「爆弾低気圧」を「猛烈低気圧」に言い換える事を記載した。 冷たく乾燥した大陸性気団と暖かく湿った海洋性気団が衝突する大陸辺縁部の、特に東岸で、冬季に多くみられる現象。日本海(特に佐渡沖周辺と秋田沖周辺)や三陸沖、千島列島・アリューシャン列島南方、アメリカ・カナダの東海岸などで多く観測される。冬季の対流圏上層で傾圧(気圧傾度)が非常に大きい地域の風下(東方)、また顕著な暖流の流域にあることから、これらが発達に関与していると考えられている。 日本付近では10月から1月頃の冬の嵐の時期、2月から3月の春一番の時期が最も多く、4月中旬から5月中旬までのメイストームの時期にもみられる。日本海低気圧が日本海から北日本を通過する際に急速に発達し、三陸沖でさらに猛烈に発達する例が多い。アメリカ・カナダでも同様に、冬季にノーイースターと呼ばれる嵐はしばしば爆弾低気圧である。
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