ねつりきがく‐だいにほうそく〔‐ダイニハフソク〕【熱力学第二法則】
読み方:ねつりきがくだいにほうそく
熱力学第二法則
熱力学第二法則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 01:21 UTC 版)
「ルドルフ・クラウジウス」の記事における「熱力学第二法則」の解説
熱力学第一法則を採用したことで、カルノーの理論は修正を迫られることになる。しかし、カルノーの理論を無視することはできない。「というのも、カルノーの理論はかなりの部分経験的にみごとに立証されているからである。注意深く吟味するならば、新しい方法はカルノーの原理の本質的部分とは対立することはなく、ただ熱の消失はないという補足的な主張に対してのみ相容れないのであるということが分かる 。」 そのため、クラウジウスは熱力学第一法則に加えて、以下のことを熱力学の基本原理とした。 「熱は常に温度差をなくする傾向を示し、したがって常に高温物体から低温物体へと移動する。」 クラウジウスはこれを「熱力学第二法則」(熱の特殊性の原理)と呼んだ。 1854年の論文では、仕事から熱量Qが発生した場合について、 Q T {\displaystyle {\frac {Q}{T}}} という値を考えた。そしてこれは、高温 T 1 {\displaystyle T_{1}} から低温 T 2 {\displaystyle T_{2}} へと熱量Qが移動した場合の Q ( 1 T 2 − 1 T 1 ) {\displaystyle Q({\frac {1}{T_{2}}}-{\frac {1}{T_{1}}})} と等価値(Aequivalerzwerth)であると考えた。 カルノーサイクルのような過程においては、この値を全て足し合わせるとゼロになる。すなわち、 ∫ d Q T = 0 {\displaystyle \int {\frac {dQ}{T}}=0} となる。こうして、熱力学第二法則は定式化された。 1865年の論文では、不可逆過程も考慮に入れ、 ∫ d Q T ≤ 0 {\displaystyle \int {\frac {dQ}{T}}\leq 0} という式を作り上げた。これはクラウジウスの不等式と呼ばれている。
※この「熱力学第二法則」の解説は、「ルドルフ・クラウジウス」の解説の一部です。
「熱力学第二法則」を含む「ルドルフ・クラウジウス」の記事については、「ルドルフ・クラウジウス」の概要を参照ください。
熱力学第二法則
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 06:14 UTC 版)
実在の気体は理想気体の性質を満たさないが、高温になると理想気体と似たふるまいを示す。この現象について、カロリック説では、高温の気体ではカロリックの持つ膨張力(斥力)が強くはたらき、分子間力が無視できるようになるためだと説明されていた。それに対し、ルドルフ・クラウジウスは、高温では分子間力に対してなされる仕事が、外圧に対してなされる仕事と比べて無視できるほど小さくなるためだと述べ、カロリックを使わずにこの現象を説明した。 そしてクラウジウスは1850年の論文で、理想気体を取り上げて研究し、理想気体の状態方程式などから、熱力学第一法則(エネルギー保存の法則)を定式化した。さらにクラウジウスは同論文で、熱は低温の物体から高温の物体へとひとりでに流れることはないという、熱力学第二法則を初めて導き出した。 一方、ウィリアム・トムソン(ケルヴィン卿)は理想気体に基づいた理論を拒否した。そしてトムソンは、クラウジウス論文から1年遅れとなる1851年に、理想気体に限定しない形で熱力学第二法則を導き出した。さらに1854年には、同じく理想気体に頼らずに熱力学温度を定義した。トムソンは1878年、理想気体について、「そのどの性質もいかなる現実の物質によっても厳密には実現されず、そのいくつかの性質は未知で想像によってさえまったく与えることのできない完全気体と呼ばれるある架空の実在を最初に構成することによって、熱力学の理解はきわめて遅らされ、学生は不必要に混乱させられ、単なる浮砂にすぎぬものが温度測定の基礎として与えられてきた」と批判している。
※この「熱力学第二法則」の解説は、「理想気体」の解説の一部です。
「熱力学第二法則」を含む「理想気体」の記事については、「理想気体」の概要を参照ください。
固有名詞の分類
- 熱力学第二法則のページへのリンク