灰吹銀の銀品位
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 04:20 UTC 版)
銀座による灰吹銀の買取価格は銀品位に応じて定められた。最上級の銀地金は、1.1倍の慶長丁銀でもって買い入れられたため、「一割入レ」と呼ばれた。慶長丁銀は銀を80%含有するため、1.1倍であれば0.8×1.1=0.88となり、この12%分が銀座の鋳造手数料など入用に相当した。90.91%の銀を含有する地金は0.9091×1.1=1.00となり、同質量の慶長丁銀で買い入れられるため、「釣替」(つりかえ)と呼ばれた。85%の銀を含有する地金であれば、0.85×1.1=0.935となり、「六分五厘引ケ」となった。 純度の高い上銀は「南鐐」(なんりょう)と呼ばれ、さらに精製度の高いものは「花降銀」(はなふりぎん)と呼ばれた。純銀は溶融すると空気中の酸素を溶かし込み、凝固時にこれを放出して花が咲くように痘痕になるからである。 『明和諸国灰吹銀寄』による各銀山より山出しされた灰吹銀の品位の例を挙げると、津軽銀は三分引ケ(88%)、院内銀山の秋田銀は二分入レ(93%)、佐渡印銀は一割入レ(上銀)、因幡銀は五分引ケ(86%)、雲州銀は一割引ケ(82%)となっている。 『官中秘策』にある銀座の書上の記述には佐渡、但馬の御銀(公儀灰吹銀)は100貫につき銅20貫加え、石見御銀は100貫目につき銅22貫を加え丁銀を吹立たとあり、計算上の品位は佐渡、但馬の灰吹銀は銀含有率96.0%、石見の石州銀は97.6%ということになる。 明治15年(1882年)度に造幣局に納入された朝鮮産の灰吹銀の内、脆弱なものを分析した結果は、銀98.10%、金0.015%、蒼鉛0.756%、鉛0.857%、銅0.058%、鉄0.022%であり、その他、亜鉛、砒素、アンチモンは検出限界以下であった。このうち蒼鉛は国産の灰吹銀にも多少含有しており地金の脆性に著しく影響を与えるという。
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