深発地震面の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 15:33 UTC 版)
二重深発地震面 東北日本(東日本)の太平洋側で顕著である。北海道・千島列島南部でもみられる。日本海溝と千島海溝南部に当たる。深発地震面に上面と下面があり、数十kmの間をとってほぼ平行に並んでいる。上面では圧縮力が、下面では引っ張りの力が、それぞれ沈み込み方向と並行に存在して地震を発生させていると考えられている。斜めに沈み込んでいて、スタグナントスラブに対応する最深部の反り返りもよくわかる。ただし、東北日本では上面が更に2層に分かれており、上層で正断層型の地震が多発していることも分かっている。 断裂した深発地震面 ニューヘブリディーズ海溝・ペルー・チリ海溝で見られる。地表から300km付近までに深発地震面があるが、それ以深では無くなり、600km付近で再び現れる。スラブが断裂して存在するため、あるいはスラブはつながっているものの途中の部分で地震を発生させない何らかの原因があるため、と考えられている。なお、ペルー・チリ海溝では、上の深発地震面では引っ張りの力、下の深発地震面では圧縮力が働いている。 垂直な深発地震面 マリアナ海溝では、深発地震面が地下約100km以深で垂直になり、ほぼまっすぐ地球の中心へと伸びている。 短い深発地震面 アリューシャン海溝では、地下200 - 300km付近までしか深発地震面が存在しない。 また、西南日本に当たる南海トラフでも深発地震面は約100kmまでしか存在しない。これは沈み込むフィリピン海プレートが(沈み込み始めてから)若いことが関係している。 深発地震は、P波が一度地表面で反射して伝わるpP波が明瞭である。P波とpP波の到達時間差から、震源の深さを概算することができる。深さ600kmで発生した場合、陸上観測点との距離は最低でも600kmあり、ある程度規模の大きな地震でなければ捉えられない。そのため、ふつう深発地震といえば比較的大規模なもの(マグニチュード6以上)を指す場合が多い。近年では地震計の性能向上などにより、小規模な深発地震も観測されている。 地震波は剛体であるプレート上を伝わりやすく、マントル中はやや伝わりにくい。そのため深発地震の震源からは、地震波は沈み込んでいるプレートに沿って斜め上方に伝わり、震源直上(震央)よりも、震央から離れた場所で大きな揺れとなる場合が多い。たとえば日本海やロシア沿海州の直下で発生した深発地震で、日本の東北地方太平洋側で有感となり、日本海側やロシアでは無感となる例が多数ある。 また、深発地震の地震波はすぐにマントル中を伝播する。マントルの地震波速度は大きく、Dziewonski & Anderson(1981)によれば、深さ600kmでのP波速度は秒速10kmである。これは地殻中のP波速度のおよそ2倍弱である。従って、比較的早く遠方に到達する。
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