改軌と近代化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 13:54 UTC 版)
ロシア鉄道が所管する旧連邦鉄道線全線において、軌間を日本時代から承継した狭軌(1067mm)から本土と同じ広軌(1520mm)に全面的に改軌する「路線再建」(Реконструкция дороги)工事が2003年に開始された。既存狭軌での列車運行への影響を避けるため、軌道を1520mm・1067mm併用の三線軌条に対応したPC枕木付きに交換したのち、レールを外側に1本追加する方式で進められ、同時に老朽化が進んでいるトンネル・橋りょうの改築や線形改良も行われた。 工事中盤においては2018年に第1段階として西岸のシャーフタ=サハリーンスカヤ - ホルムスク - アルセンチェーフカ間および東岸北部のアルセンチェーフカ - ノグリキ間を先行して改軌開業したのち、翌2019年に第2段階として東岸南部のコルサコフ - ユジノサハリンスク - アルセンチェーフカ間を改軌開業させる2段階の広軌化を見込んでいたことから、狭軌・広軌区間の双方で運行可能な軌間可変動力台車を装備したТГ16М形客貨両用ディーゼル機関車の新製が2014年から2016年まで行われたが、機器の信頼性に問題が見つかったほか、工事の進捗状況からホルムスクとユジノサハリンスクおよびノグリキ間の基幹線区が一斉改軌となる見通しとなったことから、増備は5ユニットで打ち切られ、ТЭМ18ДМ形ディーゼル機関車の島内への転配増備に方針を変更した。 ТЭМ18ДМ形は2018年に1両(386号機)が第二ハバロフスク機関区からユジノサハリンスク機関区に先行して転配された。のち改軌最終工事にともなう全面運休開始にあわせ、2019年6月にスヴェルドロフスク鉄道支社のチュソウコーエ(279号機)、スヴェルドロフスク操車場(336号機)、エゴールシノ(570号機)の各機関区所属および東シベリア鉄道支社ジマー機関区所属(712、713、714号機)の計6両がユジノサハリンスク機関区に転配された。 2018年3月までに全線の3分の2にあたる約600kmで三線軌条の敷設が完了し、同年夏季(5月-9月)には1日に最大10時間にわたって列車を運休して工事を進める「工務間合」(Технологических окна)が週5日実施された。その影響で並行道路が未舗装のスミルヌィフ以北を除く東西全線で列車本数の大規模な削減が行われ、鉄道代替バスの運行や臨時航空便の運航などが行われた。愛称付列車「サハリン」号は改軌工事終了まで運休し、この間、同列車用の上等車は同区間運行の長距離列車603・604列車に併結する代替措置を取った。
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