改軌の目的
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/07 17:07 UTC 版)
改軌を行う目的としては以下のようなものがある。 車両の大型化や高速化(軌間を広げる場合)。 新路線作成のコスト削減が既存路線改軌のコストと差し引いてプラスになると考えられる場合(軌間を狭める場合)。 軌間の異なる路線との直通運転、もしくは直通しなくても異なる軌間の車両を持ってきて走行させるため。 複数の目的が含まれることもある。 2番目の例は極めて希だが、1870年のニュージーランドの例がある(5ft3in→3ft6inに改軌など)。一般的には、車両の大型化、高速化が目的であるため、広範囲の狭軌に合わせる場合を除き、ほとんどの場合が軌間を拡大する工事となる。この場合、ただレールの間隔を広げればよいというものではなく、道床の肉厚を増して堅固なものにすることや、スラブ軌道の採用、重量増に耐えられるような橋梁等の改築、トンネル断面の拡大などが必要になる。高速化が目的の場合、複線化が併せて実施されることもある。これらの工事が困難であれば、部分的に従来の線路を放棄し、別の場所に新しい線路を敷設することもある。また車両の側も改造を施さなくてはならず、従来に代わる新しい車両を製造する場合もある。このため、改軌には長い準備と多額の費用を要するので、用地費がそれほどかからないものの、ほとんど新設路線並みの工事となる。列車を運休しなければならない場合もあり、その際は運休中の代行輸送の手配も必要となる。 日本では、列車の運行頻度が少なく車両も少なかった戦前には改軌は頻繁に実施された。特に軽便鉄道が、輸送力と速度の向上を図るために実施したケースが多い。しかし、それらの条件が変化した戦後には実施は少なくなり、特に1971年以降はミニ新幹線の運行に伴うケースおよび三線軌条だった区間から1本の線路を除去したケースを除いて行われていない。
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