慣用句としての08/15
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「08/15」の記事における「慣用句としての08/15」の解説
この三部作のタイトル「08/15」(ドイツ語版)(nullachtfünfzehn=ヌルアハトフュンフツェーンもしくはnullachtfuffzehn=ヌルアハトフフツェーン)は、ドイツ語の軍隊俗語から派生したドイツ語圏で一般的に使われている慣用句で、月並みなもの、特別でないもの、凡庸なものに対して使われる軽蔑の意味のある言い回しである。また標準型のものや時代遅れのものに対しても使われる。この語源は第一次世界大戦のドイツ陸軍で使われた水冷式重機関銃「MG08」の軽量化型機関銃「MG08/15」に由来する。 この作品の登場人物に限らず、ドイツ人にとって「08/15」という言葉は単なる一兵器の名称を超えた意味を持っている。 まず、第一次世界大戦及び戦間期を通じて多くの兵士たちが毎日この機関銃を扱い長く単調な訓練を強いられた。その結果、退屈で過酷な軍隊生活にうんざりした兵士たちの間からいつの間にか月並みなもの、凡庸なものに対して、この「08/15」という言い回しが出てきたと考えられている。 また、「MG08/15」が部品の規格化を実現したドイツ軍最初の制式兵器であることもこの名称を語る上で重要な事実である。 「MG08/15」の原型であるMG08重機関銃までは銃器に部品の規格はなく、部品製造に携わった異なる銃器メーカーの間では互換性がなかった。これを改善したのベルリン・シュパンダウにあった王立銃器製造工場(ドイツ語版)であった。ドイツ規格協会が1918年3月にドイツ工業規格(DIN) 第1号=DIN1として制定したのがこの「MG08/15」の遊底のテーパーピン(ドイツ語版)である。 このことから「08/15」は「規格品」や「標準品」の同義語ともなり、やがて「想像力のない」「独創性のない」という否定的な概念が生まれ、それぞれが混同されていったものと思われる。 第二次世界大戦でもこの機関銃は予備兵器として使われた。もちろんすでに旧式化した兵器であり、この意味で「時代遅れのもの」という意味が付加されて行った。 現在使われている「08/15」という慣用句は発生当時より否定的な意味が強くなっており、「スクラップ」「役立たず」との意味で使っている例が多いようである。その語源として「MG08/15は材料品質が低下して故障が頻発したため」という解釈がなされているが、「MG08/15」が実際に欠陥兵器であったかは確認されていない。 「08/15」とはこのような意味を持つ言い回しであるが、この『08/15』三部作の題名に関して、かつて存在した作者キルストのオフィシャルサイトによれば、単にその語源となった「MG08/15」に由来するとされていた。キルストがライヒスヴェア(ヴァイマル共和国軍。1935年に国防軍=ヴェアマハトとなる)に志願入営したのは1933年であり、世界最初の汎用機関銃MG34が制式採用される前年であったために実際にこの「MG08/15」を使った可能性は大きい。
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