建設費と償還
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 04:41 UTC 版)
「高速道路無料化」も参照 海外の高速道路は、通行料が無料のところも多いが、日本では1956年(昭和31年)に制定された道路整備特別措置法によって、有料道路制度が創設されたため、原則すべてが有料である。 建設開始当初、高速自動車国道は原則として、建設時の借入金が返済されるまで無料開放をしない有料道路との位置付けであった。このため各路線ごとの借入金が、それぞれの路線の収益により返済された後は、無料開放される予定であった。 だが1972年10月、根拠法である「道路整備特別措置法施行令」が第1次田中角栄内閣によって改正されて全国料金プール制が導入され、全国の高速道路の収支を合算すること、国土開発幹線自動車道建設審議会が高速道路の延伸を答申したため、東名高速道路や名神高速道路の収益で、他の赤字高速路線の借入金を返却する状態となった。赤字国債によって建設費を賄ったこともあり、無料化は度々先送りされた。 2002年(平成14年)8月7日に道路関係四公団民営化推進委員会は高速道路の無料開放を断念し、日本道路公団民営化に伴う高速道路の恒久有料化を決定した。この結果、高速道路の無料開放の可能性は一旦消滅した。道路公団民営化の方針で、2005年(平成17年)の民営化後45年以内に借入金を返済し、日本高速道路保有・債務返済機構を解散することが日本高速道路保有・債務返済機構法で義務化されている。民営化時の借入金は、約40兆円になった。 その後平成21年の衆議院議員選挙において、高速道路無料化をマニフェストに掲げた民主党が圧勝した。無料化が実現すればアメリカ合衆国のフリーウェイやドイツのアウトバーンと、先進国の主要道路と同様、基本的に車種を問わずに無料となる予定だったが、JRや高速バス、フェリーからの反発が根強い上、民主党が連立政権を組んでいた社民党は「(ガソリン税の暫定税率撤廃と同様に)地球温暖化対策に逆行する上、余計な財源が必要」として再考を求めていた。民主党内部でも約半数の議員がこの政策に懸念を示し、行政刷新会議の中でも事業仕分けリストの中に取り上げられるなど、政策は二転三転し、結果的に民主党はマニフェストを達成せぬまま下野した。 なお新直轄方式の高速自動車国道や一部の高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路、一部の地域高規格道路、その他の自動車専用道路として無料開放されている路線もある。北陸自動車道の新潟西IC - 新潟黒埼ICは新潟西ICに接続する新潟西バイパスが開通したことによって、高速自動車国道では唯一1989年(平成元年)に無料開放された。 民営化時点における料金の徴収期間は、高速道路3社及び本州四国道路連絡橋については、2050年8月27日まで、首都高と阪神高速については、2050年9月30日までとなっていたが、2014年(平成26年)に、構造物の老朽化のため修繕費用を捻出する必要性から、さらに2065年9月30日まで料金徴収をすることが可能となるよう、関係法律が改正された。
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