就学前・園児向け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 11:51 UTC 版)
「モンテッソーリ教育」の記事における「就学前・園児向け」の解説
2歳半(または3歳)~6歳向けのモンテッソーリ教室は、モンテッソーリが1906年に初めてローマに設立した学校の名前「Casa dei Bambini」(イタリア語で「子供の家」の意)にちなんで、「子供の家」と呼ぶものが多い。またこの学級は「初等」(Primary)とも呼ばれる。典型的な教室は、子どもたち20~30人を複数学年を混ぜてクラス編成し、これに完全な訓練を受けた教師と助手を付ける。教室には通常、子ども用の大きさのテーブルと椅子が一つずつあるいは小さな集団状に配置される。子どもでも手が届く高さの棚が教室全体にわたって置かれており、その中に様々な教具が収められている。 多くの場合、最初のうちは教師が色々な活動を示し、その後は子どもの興味の赴くところに従って、ある程度自由に活動を選ばせる。モンテッソーリ教室における教師の役割は、それぞれの児童が自ら学習の経路を作り出していけるように、個々の児童の意見を聞きながら、児童を導くことにある。教室の教具は通常、実生活的なスキル(液体を注ぐ、液体をすくう、洗う、テーブルを磨く、掃くといったこと)に取り組む活動も含んでいる。また、五感の発達を促す教具、数的教具、言語教具、音楽的、芸術的、文化的の教具に加えて、ある程度の科学的な活動(「浮かぶもの、沈むもの」、「磁石に付くもの、付かないもの」、「ロウソクと空気」といったもの)も含む。 子供の家での活動は、通常は実地指導であり、手に取って触れる教具によって概念を教える。例えば、書くことを教えるときには、児童たちは「紙ヤスリ文字」(sandpapepr letters)という教具を用いる。「紙ヤスリ文字」は、紙ヤスリを文字の形に切り出して、それを木板の上に貼り付けたものである。子供たちは、指でこの文字をなぞりながら、文字の形と、文字の発音を学ぶ。別の例を挙げると、算数の概念(特に掛け算)を教えるためには「数珠鎖」(bead chains)を使う。特に、10の倍数を教える場合は、数珠玉1粒を1と数え、数珠玉10粒を貫いた棒1本で、1×10を表す。次にこの棒を平面に10本並べて10×10を表す。さらにこの平面を10段積み上げて立方体を作り、10×10×10を表す。こうした教具によって、基本的な概念が具体的で確固たる理解として形成されるように助ける。この理解が、後に行う様々な学習の土台となる。
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