大型駆逐艦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 13:47 UTC 版)
上記の経緯により、「フリゲート」の名称は、同時期の駆逐艦やスループよりも格下の艦を指すものとして復活した。一方で、帆船時代のフリゲートは巡洋艦の前任者にあたり、むしろ単語のニュアンスとしては巡洋艦に近いものと考えられていた。例えばリバー級の登場以前の1935年度計画で、イギリス海軍は巡洋艦の任務を肩代わりできる駆逐艦の建造に着手したが、当初はこれを「フリゲート」と称することも検討された。ただしこの時点では艦種呼称として廃止されていたことから、これは実現せず、完成したトライバル級は単に「駆逐艦」とされた。 第二次世界大戦後のアメリカ海軍では、タコマ級の評価は高くなく、また主機の運用面の理由から沿岸警備隊の乗員によって運用されていたこともあって早期に退役し、船団護衛用としては、護衛駆逐艦の流れを汲む艦を航洋護衛艦(Ocean Escort;艦種記号はDEのまま)として整備しており、「フリゲート」の名称は途絶えることになった。 一方、1951年には嚮導駆逐艦(Destroyer leader, DL)という艦種が新設され、対潜巡洋艦(sub-killer cruiser, CLK)として建造された「ノーフォーク」と、新世代の高速艦隊護衛艦のプロトタイプとして建造されたミッチャー級とがこれに類別されていた。しかしこれらの艦は、嚮導艦として他の艦を指揮するというよりは、機動部隊の直衛艦として自ら戦闘にあたることから、「嚮導艦」との名称は相応しくないと指摘された。むしろ任務としては帆船時代のフリゲートに近いことから、1954年6月、基本計画審議委員会(Ship Characteristics Board, SCB)は、「嚮導駆逐艦」にかえて「フリゲート」との名称を提言し、これは受諾された。またフランス海軍でも、アメリカ海軍のリーヒ級ミサイル・フリゲート(DLG)と同様の高速空母機動部隊の直衛艦として、1960-65年度計画で建造したシュフラン級を端緒として、大型水上戦闘艦に「フリゲート」(Frégates)の名称を与えている。 しかし多くの海軍は、イギリス海軍による航洋護衛艦としての「フリゲート」という名称を受け入れつつあり、アメリカ海軍はその趨勢から外れつつあった。またソ連海軍独自の艦種呼称を西側で翻訳する際にも、イギリス式の類別法が用いられていたことから、ソ連海軍の「巡洋艦」よりもアメリカ海軍の「フリゲート」のほうが大型で有力であるケースが多くなり、誤解を招く恐れが指摘されるようになった。このことから、1975年に至って、アメリカも他国との共通化を図ることになった (United States Navy 1975 ship reclassification) 。従来のフリゲートのうち大型の艦は巡洋艦に、小型の艦は駆逐艦に分類し、従来の航洋護衛艦をフリゲートと改め、艦種記号も新たにFF/FFGを与えた。またフランス海軍でも、呼称としては「フリゲート」とする一方、北大西洋条約機構(NATO)で標準化されたペナント・ナンバーの種別としては、艦の規模に応じて、フリゲートを意味する「F」ではなく駆逐艦を意味する「D」を付されている艦も多い。
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