国民に多重国籍を認めていないが、被選挙権に規制のない国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 05:31 UTC 版)
「多重国籍」の記事における「国民に多重国籍を認めていないが、被選挙権に規制のない国」の解説
日本では、日本の実情の被選挙権についての解説にもあるように、日本国民が選挙に立候補して公職に就任することについて、公職選挙法上外国国籍を有することによる制限はない。ただし外務公務員に関しては、外務公務員法第7条第1項の規定により、「外国の国籍を有する」ことは欠格事由となる。 ペルーの大統領であったアルベルト・フジモリは、自国で日本国籍を持っていないと言ったものの、日本に亡命した後で実際は大統領時代も日本国籍を有していたことが明らかになり、日本国内においても2007年の参議院議員選挙に立候補している。なお、1984年の国籍法改正以前に既に多重国籍であった日本人に相当するので、それ以降に多重国籍となった日本人とは法律上の扱いが異なる。 蓮舫参議院議員が、2016年9月時点で日本と中華民国(台湾)との二重国籍の可能性があると判明した。これは、1984年改正前の国籍法が父系主義であったために、出生時には母親の国籍国である日本の国籍は取得できず、父親の国籍国である中華民国籍のみを有していたところ、同改正により日本が父母両系主義を採用し、その改正に伴う経過措置により、日本国籍を取得したことが原因である。国籍法上、日本国籍選択の届け出は22歳の誕生日を迎える1989年11月までに行うべきものであった。蓮舫は、2016年10月に国籍法による日本国籍選択の届け出を行い、中華民国籍を離脱する手続きを取った旨を公表している。なお、2016年9月には中華民国の「国籍喪失許可証」と外国国籍喪失届を目黒区役所に提出しているが、こちらは日本国政府が中華民国を国家の承認をしていないことなどを理由に却下されている。日本弁護士連合会は、2021年に「日台複数籍者の国籍選択に関する人権救済申立事件(勧告)」を公表し、「日台複数籍者は国籍法14条に基づく選択義務を負わないと解すべきである」との判断を示したうえで、内閣総理大臣および法務大臣宛てに「日台複数籍者に国籍法14条が規定する国籍選択を求めてはならない。」「日台複数籍者に対して,日本国籍の選択宣言を行わなかったとしても,国籍法上の義務違反に当たらないことを周知徹底するべき。」との勧告を行っている。 小野田紀美参議院議員が2016年10月時点で、アメリカ当局に対しては米国籍放棄の手続きを取っていなかった二重国籍だと判明し離脱手続きを始めた。小野田は参議院に立候補する前の2015年10月には終えていた「日本国籍選択とアメリカ国籍放棄手続き」と、2016年10月に始めた努力義務である「外国の法においての国籍離脱」の手続きが済んで、2017年5月2日付で「アメリカ国籍喪失証明書」が届いたためアメリカ合衆国籍を正式に離脱し、二重国籍状態を解消した。
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