労働組合活動と賃金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 09:17 UTC 版)
労働者がストライキ、サボタージュ[要曖昧さ回避]等の争議行為の結果、契約の本旨に従った労務の提供をなさざる場合においては、使用者は労働の提供が無かった限度において賃金を支払わなくても第24条違反とはならない(昭和23年7月3日基収1894号)。一部労働者の争議行為があったとしても、当該争議行為により全然影響を受けない作業に従事する労働者の賃金を一律に差し引くことは第24条違反である(昭和24年5月10日基発523号)。 労働組合の業務に専従している者は、その期間中は労務の提供がないので賃金請求権を有しない。またこの場合に使用者が賃金を支払うことは労働組合に対する支配介入に当たり、不当労働行為とされる(労働組合法7条)。労働条件の不利益変更が問題となる余地もない。 労働者の一部によるストライキが原因でストライキ不参加労働者の労働義務の履行が不能となった場合でも、当該不参加労働者は賃金請求権を失う(ノースウェスト航空事件、最判昭62.7.17)。通常、ストライキは団体交渉決裂の結果行われるので、当該ストライキは「債権者の責めに帰すべき事由」(民法536条2項)には当たらない。もっとも、不参加者の所属する組合とは異なる組合が行ったストライキでは、会社側に起因する経営、管理上の障害によって就労できなかったと評価することが可能であり、不参加者には休業手当を請求することが認められうる。 一方、労働組合の争議に対する使用者の対抗手段としてのロックアウトによって使用者が賃金支払義務を免れるためには、諸事情を勘案してロックアウトが衡平の見地から労働者の争議行為に対する対抗手段として相当であると認められることが必要となる(丸島水門製作所事件、最判昭50.4.25)。
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