分布と回遊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 09:23 UTC 版)
北太平洋のセミクジラの学術的研究は歴史が浅く、厳密な回遊経路と越冬海域は全く判明していない。近年の日本では知床半島や三陸沖、房総半島内外、東京湾南部から相模湾や駿河湾など伊豆半島周辺から伊豆諸島・小笠原諸島に至る海域や熊野灘、土佐湾周辺、奄美大島などでセミクジラが冬から初夏にかけてごく稀に確認されている。日本海側で過去50年内の確認は非常に少なく、ストランディングと捕獲記録も数件である。過去の記録からすると北西太平洋での南限は中国南部や台湾であり、東部北太平洋ではオレゴン州やカリフォルニア半島、ハワイ諸島などで近年の記録がある。 採餌場については、東部北太平洋では南東部ベーリング海(ブリストル湾)に集中が見られ、アラスカ湾のコディアック島周辺でも確認されていることから、これらの海域が東部のセミクジラの重要な生息域とされる。現在、定期的な集中が確認されているのはブリストル湾のみであり、この海域に回遊する個体群は31頭が写真判別されているが、これらを含めても東太平洋での総個体数は50頭を超えないと言われる。西部北太平洋での集中域は沖合に集中しており、ベーリング海からカムチャッカ半島、千島列島や樺太などのオホーツク海周辺が西部個体群の採餌分布域であると推測されている。 科学的証拠が存在する唯一の南北の回遊例は、南東部ベーリング海からハワイ諸島にかけてである。
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