分布と地位
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/21 17:10 UTC 版)
サライキ語はパキスタンのパンジャーブ州南西部で話されている言語で、ムルターンやバハーワルプルを中心とする。この地域はシンド州に地理的にも歴史的にも近く、その言語もパンジャーブ州都のラホールのパンジャーブ語とは大きく異なっているが、サライキ語は公式にはパンジャーブ語の方言とみなされてきた。 20世紀はじめ、ジョージ・エイブラハム・グリアソンはインド言語調査において、パンジャーブ州西部の言語にラフンダー語という名前をつけ、パンジャーブ語とは別の言語とした。サライキ語はラフンダー語の南部方言に相当する。 第二次世界大戦後、公用語はウルドゥー語となり、サライキ語の文化語としての地位はきわめて低かった。また、ラホール中心主義に対する反発もあり、1960年ごろからサライキ語を独立した言語として認めさせようとする政治運動が起きた。運動のおきた主な原因は、単なる言語の問題ではなく、ラホールにくらべて開発がたちおくれていることにあった。1970年にはサライキ語のラジオ放送がはじまり、1971年にはサライキ語を国勢調査の言語の欄に書けるように要請したが却下された。パンジャーブ語をパンジャーブ州全体の初等教育で教えることが決まると、これに反発して1975年に全パキスタン・サライキ文学会議が開催された。1981年にはじめてサライキ語は国勢調査の対象としての独立した言語と認められた。サライキ語圏を独立した州にする政治運動が行われ、1983年には「サライキスタン」という仮の名前がつけられた。
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