信頼できない語り手
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信頼できない語り手(しんらいできないかたりて、英語: Unreliable narrator)は、小説や映画などで物語を進める手法の一つ(叙述トリックの一種)で、語り手(ナレーター、語り部)の信頼性を著しく低いものにすることにより、読者や観客を惑わせたりミスリードしたりするものである[1]。
注釈
出典
- ^ a b Frey, James N. (1931). How to Write a Damn Good Novel, II: Advanced Techniques for Dramatic Storytelling (1st ed.). New York: St. Martin's Press. p. 107. ISBN 978-0-312-10478-8 2013年4月20日閲覧。
- ^ a b Booth, Wayne C. (1961). The Rhetoric of Fiction. Univ. of Chicago Press. pp. 158–159
- ^ Unreliable Third Person Narration? The Case of Katherine Mansfield, Journal of Literary Semantics, Vol. 46, Issue 1, April 2017
- ^ a b Rabinowitz, Peter J.: Truth in Fiction: A Reexamination of Audiences. In: Critical Inquiry. Nr. 1, 1977, S. 121–141.
- ^ “Living Handbook of Narratology”. 2013年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月1日閲覧。
- ^ Nünning, Ansgar: But why will you say that I am mad?: On the Theory, History, and Signals of Unreliable Narration in British Fiction. In: Arbeiten zu Anglistik und Amerikanistik. Nr. 22, 1997, S. 83–105.
- ^ Riggan, William (1981). Pícaros, Madmen, Naīfs, and Clowns: The Unreliable First-person Narrator. Univ. of Oklahoma Press: Norman. ISBN 978-0806117140
- 1 信頼できない語り手とは
- 2 信頼できない語り手の概要
- 3 脚注
- 4 外部リンク
信頼できない語り手
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/18 18:37 UTC 版)
詳細は「信頼できない語り手」を参照 「信頼できない語り手」は、一人称の物語を背後から動かす力で、語り手の偏見、能力の限界、欲望などからナレーションがゆがむことである。語り手の人格について読者が知るための唯一偏りのない手がかりは、語り手自身の語り方である。すべての語り手は信頼できないともいえ、『白鯨』の語り手で信頼の置けそうなイシュメールから、ウィリアム・フォークナーの『響きと怒り』における複数の語り手たち(特に知的障害を抱えるベンジー)や、ウラジーミル・ナボコフの『ロリータ』における犯罪者ハンバート・ハンバート教授まで、語り手の信頼度には大きな幅がある。 「信頼できない語り手」の例としては『日の名残り』の執事スティーヴンス、『グレート・ギャツビー』のニック・キャラウェイ、『ライ麦畑でつかまえて』のホールデン・コールフィールド、映画『ユージュアル・サスペクツ』のヴァーバル・キント、芥川龍之介の『藪の中』や映画『羅生門』の証言者たちなどが挙げられる。19世紀から20世紀にかけて活躍した文学者・ヘンリー・ジェイムズの小説は、すべて語り手の視点の限界や彼らの語りの背後にある動機などが重要な役割を果たしている。 信頼できない語り手はフィクションに限ったものではない。回顧録、自伝、自伝的フィクション(オートフィクションなど)には語り手たる作者とキャラクターたちが登場する。時として、作者は事実を歪曲して本当に「信頼できない語り手」となることもあれば、ある目的から自ら「信頼できない語り手」の人格を使うこともある(例えば、映画『バスケットボール・ダイアリーズ』の原作となったジム・キャロルの自伝的小説、『マンハッタン少年日記』など)。
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