レトロニム
レトロニムとは
レトロニム(retronym)とは、たとえば携帯電話の登場によって旧来の「電話」が「固定電話」と呼ばれ直すように、新しい技術や概念と区別する目的で命名され直した言葉のことである。レトロニムは、新たな技術や概念が登場したことで、既存の言葉では対象を示すことが十分にできなくなったという場合に、既存の語に置き換わる形で登場する。既存の語は、新語とレトロニムを包含する上位概念に位置づけられるのが普通である。
レトロニムの例
カメラ
デジタルカメラが登場したことにより従来のカメラは「アナログカメラ」「銀塩カメラ」と呼ばれるようになった。テレビ
テレビが登場した当初はモノクロ表示であったが、「カラーテレビ」が登場し普及したことで、旧来のテレビは「白黒テレビ」というレトロニムで呼ばれるようになった。テレビ放送もデジタルテレビの登場によって旧来の方式が「アナログテレビ」と呼ばれるようになった。
電話
電話は、戦前から1970年代頃まではもっぱら黒色のダイヤル式の端末を指して用いられていたが、その後さまざまな形・機能を備えた電話機が登場したことにより、従来の電話機は「黒電話」と呼ばれるようになった。携帯電話が登場したことで、黒電話を含む従来の電話機は「固定電話」と呼ばれるようになった。
レトロニム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/27 09:12 UTC 版)
レトロニム(英語: retronym)あるいは再命名(さいめいめい)とは、ある言葉の意味が時代とともに拡張された、あるいは変化した場合に、古い意味の範囲を特定的に表すために後から考案された言葉のことを指す[1]。
一例を挙げれば、カメラにおいてデジタルカメラの出現により従来型の銀塩写真カメラを「フィルムカメラ」と呼ぶようになったり、ビデオカメラの登場により写真撮影を主目的とするカメラを「スチルカメラ」と呼ぶようになるという現象である。
「レトロニム」という単語は、「過去」を意味する「レトロ(retro)」と「語」を意味する接尾辞 (-onym) の合成による[2]。1980年にナショナル・パブリック・ラジオ局長の Frank Mankiewicz が造語し、コラムニストのウィリアム・サファイアが、ニューヨーク・タイムズの中で使用したことで広まった[3][4]。
日本語の「再命名」という用語は、1976年に鈴木孝夫が『日本語の語彙と表現』の中で用いている[5]。これは「レトロニム」に先立つ用語である。
関連項目
- 造語
- 頭字語(アクロニム)
- バクロニム
- ダイヤモンド (お笑いコンビ) - M-1グランプリ2022にてレトロニムを題材にした漫才を行った[6][7]。
脚注
- ^ “Retronym”. http://www.websters-online-dictionary.org/:+ Webster's Online Dictionary. 2013年3月23日閲覧。 “A word introduced because an existing term has become inadequate; "Nobody ever heard of analog clocks until digital clocks became common, so `analog clock' is a retronym".”
- ^ "retronym", "retro", "-onym" Merriam-Webster Dictionary
- ^ Richard Nordquist. “retronym”. About.com Grammar & Composition. 2012年5月16日閲覧。
- ^ William Safire (2007年1月7日). “On Language: Retronym”. The New York Times
- ^ 「レトロニム」という言葉、現象について, レファレンス協同データベース, 2016-10-21
- ^ “憧れの松本人志にダイヤモンド野澤が返した言葉 視聴者反応は「強い」「見ててヒヤヒヤ」...”. J-CAST テレビウォッチ. 2023年2月17日閲覧。
- ^ 伊藤剛寛「M-1「ダイヤモンド」でレトロニム(再命名)に注目…多彩で身近、古くから数多くあった」『読売新聞』、2023年9月27日。2023年9月27日閲覧。
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