ラウンドアップ耐性雑草の世界的な問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 20:00 UTC 版)
「ラウンドアップ」の記事における「ラウンドアップ耐性雑草の世界的な問題」の解説
「スーパーウィード」も参照 ラウンドアップの有効成分である、グリホサートに耐性を持つ雑草が問題となっている。 米国オーガニックセンターの2009年の報告によれば、栽培が始まった1996年から13年経過し、ラウンドアップ除草剤に対する耐性により2008年には、遺伝子組み換え作物のほうが散布した農薬の金額が27%多く増加傾向は続くとし、また遺伝子組み換え種子の収穫量が期待ほどではなく、ラウンドアップ耐性雑草の防除が難しく、費用もかかるため、通常の種子の需要が増えている。 なお、収量の高い第二世代のラウンドアップ耐性ダイズ品種が既に上市されている。一方、正しい除草剤の使用法を守れば、除草剤耐性雑草の出現は問題にならないという報告もある。 米国科学アカデミーの全米研究評議会は、除草剤耐性遺伝子組換え作物の採用の際に、農民はより毒性の強い除草剤からラウンドアップに主に切り替えたが、ラウンドアップの過剰な散布により、少なくとも9種の雑草がラウンドアップに耐性を持つように進化している。そのため、元のより強い毒性を持つ農薬が必要となり、利得を損なう恐れがあるこという研究を発表した。 同研究において、そのような懸念を示すとともに遺伝子組換え作物のもたらした最大のメリットは河川・貯水池の水質浄化と土壌流出低減であることを明らかにした。これはBt作物による殺虫剤使用量の大幅な減少と除草剤耐性作物によって不耕起栽培が普及した結果である。 そのため、開発メーカーや農業普及指導所はグリホサートだけに頼らず、旧来の土壌処理型除草剤も合わせて使うように指導しているが、これらの除草剤はグリホサートよりも残効性が高いため、水質への環境負荷が大きく、水質浄化というメリットが失われることにつながる、と指摘されている。 同研究において、グリホサート耐性雑草の進化を抑えるために、除草剤耐性作物を栽培する農民はもっと異なった雑草管理作業、例えば異なる除草剤とその耐性作物のローテーションや、複数の除草剤に耐性を持つ作物に対する、複数の除草剤の混合使用を取り入れるべきである、と提言している。不耕起栽培は水質浄化以外にも、農業機械の燃料代や人件費の削減にも貢献した。 また、遺伝子組換え作物の多くの栽培者は、生産費用の低減か高収量のどちらか、場合によっては双方を経験している。また農民は、遺伝子組換え作物を栽培することによる農場労働者の安全性の増加、農場管理における簡便性と柔軟性の大幅な増加を評価していると報告しているように、今後も遺伝子組換え作物の有効性を維持する上で、除草剤耐性雑草の制御は、重要な問題となっている。
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