ユダヤ食品店人質事件とは? わかりやすく解説

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ユダヤ食品店人質事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/21 03:19 UTC 版)

ユダヤ食品店人質事件
事件の翌日の食品店
場所 20区ポルト・ド・ヴァンセンヌ大通り23番 ユダヤ食品店イペル・カシェール
座標 北緯48度50分49秒 東経2度24分56秒 / 北緯48.84694度 東経2.41556度 / 48.84694; 2.41556座標: 北緯48度50分49秒 東経2度24分56秒 / 北緯48.84694度 東経2.41556度 / 48.84694; 2.41556
日付 2015年1月9日 (2015-01-09)
午前13時頃 – 午前17時過ぎ ((CTE))
標的 ユダヤ食品店
攻撃手段 人質立てこもり
武器 AK-47, Vz 61, トカレフTT-332丁,ダイナマイト15本
死亡者 5(客3、従業員1、犯人1)
負傷者 4(人質1、RAID隊員2、BRI隊員1)
他の被害者 従業員や客など人質17名(1名死亡。襲撃後すぐに殺害された3名は人質に含まない)
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警官銃撃
立てこもり現場
人質立てこもり事件とそれに先立つ警官銃撃事件の現場

ユダヤ食品店人質事件は、2015年1月9日フランスパリ20区のポルト・ド・ヴァンセンヌにあるユダヤ食品専門スーパーマーケット「イペル・カシェル」で発生した人質事件。

武装した男が居合わせた客らを人質に立てこもったが、フランス国家警察特別介入部隊の強行突入によって射殺された。人質のうち4名が死亡した。犯人は、前々日に発生したシャルリー・エブド襲撃事件の容疑者らとの連携を表明しており、イスラム過激派による一連のテロ事件と見られている。

概要

パリのユダヤ食料店人質事件でなくなった4人の葬儀はエルサレムで行われた。

2015年1月9日の昼ごろ、パリの南東端部ポルト・ド・ヴァンセンヌのカシュルート(ユダヤ教の食事規定に従った食品)専門のスーパー「イペル・カシェル」にライフルを持った男が押し入り、「お前たちはユダヤ人だ。ユダヤ人はすべて殺す」[1]と言って店内で発砲し、子供を含む客や従業員などを人質に立てこもった[2]。事件後、AFPは「人質2名が亡くなった」と非公式ながら報じ、その後「シャルリー・エブド襲撃事件の犯人が立てこもっている印刷工場に警察が突入したら、スーパーの人質を殺すと犯人が脅している」と報じた[2]。地元テレビ局による犯人への電話インタビューに対し、自らが過激組織ISILのメンバーであり、シャルリー・エブド襲撃事件の犯人(サイード・クアシ、シェリフ・クアシフランス語版)と協調して実行した事を認めた[3]。17時、印刷会社に立てこもっていた容疑者が脱出を図って国家憲兵隊の治安介入部隊(GIGN)に射殺され、これを知った本事件の犯人が激昂することが懸念されたことから、急遽、国家警察特別介入部隊(RAID)およびパリ警視庁コマンド対策部隊(BRI-BAC)が強行突入。犯人は射殺された[3]

死亡した被害者は、21歳の学生、22歳の学生で同店店員、45歳の同店近所にある保険代理店のコンピューターエンジニア、64歳の年金基金マネージャーの4人である[4][5]

犯人

犯人のアメディ・クリバリ (Amedy Coulibaly, 32歳) は、事件の前日8日にはパリ郊外モンルージュで女性警察官クラリッサ・ジャン=フィリップ (Clarissa Jean-Philippe) を銃撃して死亡させた。前々日7日に起こったシャルリー・エブド襲撃事件の犯人のひとりシェリフ・クアシとは1995年のパリ地下鉄爆破テロ事件で終身刑になったテロリストの脱獄未遂事件(2010年)を通じて知り合ったとされる[6][7]。容疑者は長年犯罪に関与し、刑務所を何度も出入りするうちにイスラム過激派になったとみられる[8]。逃走中の内縁の妻も危険人物として手配されている[8]。内縁の妻はトルコを経由してシリアへ出国したことが確認された[9]

背景

フランスはイスラエルアメリカに次ぐ世界第3位のユダヤ人コミュニティを形成していると同時に[10]、西ヨーロッパ最大のムスリム人口も抱えており近年両者の間の緊張が高まっている[11]

事件後

マニュエル・ヴァルス首相は、「ユダヤ人のいないフランスは、フランスではない」と述べ[10]、フランス国内にある700のユダヤ人学校に5000の保安部隊を配備したほか、危険と見られる個所には将来的に10,000部隊を配備予定であると発表した[12]イスラエルベンヤミン・ネタニヤフ首相は、フランス居住中のユダヤ人にイスラエルへの移住を呼びかけている[10]

マリ人でイスラム教徒の従業員のバサナ・バティリ (Lassana Bathily) は人質たちを助けて単独で脱出し、警察の特殊部隊の突入に不可欠な情報を伝え、事件後にはフランス国籍を与えられた[13]

脚注

  1. ^ 4人はユダヤ人ゆえに殺された、長谷川良、2015年1月16日、同年2月21日閲覧
  2. ^ a b Paris attacks timeline: From Charlie Hebdo to a Jewish grocery store - how two hostage situations unfoldedThe Independent, 09 January 2015
  3. ^ a b “フランス同時人質事件、強行突入で容疑者計3人死亡”. AFP. (2015年1月10日). https://www.afpbb.com/articles/-/3036133 
  4. ^ Kosher supermarket attack victims to be laid to rest in Israel Ynet News. com, 01.11.15
  5. ^ The chief rabbi's son, shop worker saving for his marriage, teacher and pensioner: Faces of kosher deli hostages killed by Jew-hating jihadist - one of whom was executed when he grabbed one of terrorist's guns and it JAMMED DailyMail、12 January 2015
  6. ^ “パリで新たな人質取り立てこもり事件、2人死亡”. AFP. (2015年1月10日). https://www.afpbb.com/articles/-/3036121 
  7. ^ “パリ食品店で立てこもりの男、風刺紙銃撃犯と「顔見知り」”. AFP. (2015年1月10日). https://www.afpbb.com/articles/-/3036124 
  8. ^ a b “フランス最重要手配の女、パリ食料品店立てこもり犯の内縁の妻”. AFP. (2015年1月11日). https://www.afpbb.com/articles/-/3036243 
  9. ^ 内縁の妻シリア入り確認 トルコ外相、男性と一緒か MSN産経ニュース[リンク切れ]
  10. ^ a b c “相次ぐ反ユダヤ主義の暴力、国外移住も視野に フランス”. AFP. (2015年1月12日). https://www.afpbb.com/articles/-/3036259 
  11. ^ French Jews mourn victims of Hyper Cacher siege CTV news, January 10, 2015
  12. ^ France mobilises 10,000 troops after attacks Aljazeera, 12 Jan 2015
  13. ^ パリ食品店で人質救った「ヒーロー」、マリ人男性に仏国籍” (2015年1月16日). 2015年4月10日閲覧。

ユダヤ食品店人質事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/18 03:02 UTC 版)

ダービク (機関誌)」の記事における「ユダヤ食品店人質事件」の解説

ユダヤ食品店人質事件の実行犯アメディ・クリバリ(死亡)の内縁の妻だったハヤト・ブーメディエンヌ容疑者の話として、「アッラーの法によって統治される土地に住むのは良いことだ」とし「この任務完遂した私は安堵している」と、第7号において述べている。同号の表紙にはエッフェル塔写真があり、英語版には「私はシャルリーフランス語: Je suis Charlie)」というプラカードを手にした2人イスラム教徒写真掲載されている他、1ページインタビュー記事に、4ページ実行犯クリバリについて割かれている。ただし同誌には、ブーメディエンヌ容疑者生きていることを確認できる写真などはなく、インタビュー本物であることを示す証拠記されていない。同インタビュー記事では、欧米在住している女性イスラム教徒対しイスラム国への参加と、戦闘員である夫の従順なパートナーとなるよう呼び掛けている。ブーメディエンヌ容疑者は、シャルリー・エブド襲撃事件先立ちフランス出国トルコ経由シリア入ったとされる

※この「ユダヤ食品店人質事件」の解説は、「ダービク (機関誌)」の解説の一部です。
「ユダヤ食品店人質事件」を含む「ダービク (機関誌)」の記事については、「ダービク (機関誌)」の概要を参照ください。

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