文明の衝突
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『文明の衝突』(ぶんめいのしょうとつ)は、アメリカ合衆国の政治学者サミュエル・P・ハンティントンが1996年に著した国際政治学の著作。原題は『The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order』(文明化の衝突と世界秩序の再創造)。
注釈
- ^ このような単純な図式が導入された理由を従来の政治学で用いられてきた図式との有用性としている。つまり伝統的なまったくの非政府主体や政府主体が混在した混沌状態の世界観、184カ国の国民国家が存在する世界観、東側と西側に分かれた冷戦の世界観、そして世界的な人類共同体が存在する世界観、これらはいずれも冷戦後の国際関係を説明する上で情勢の整理や因果性の理解、将来予測の上で適切ではないとハンティントンは主張する。その上でこれらの図式を文明の概念を中心に新たな簡略化の図式として導入すれば以下で論じるように、従来型の世界観が抱える認識上の難点を回避して国際情勢を分析することができるものとされている。
- ^ そもそも人間は誰でも複数のアイデンティティを持っており、それらは対立や補完しあいながら成り立っている。文明は文化的枠組みにとって最大の枠組みである。アイデンティティは個人や民族、文明のどの水準においても他者を規定することによってのみ定義される。他者への態度が文明の内部の人間と外部の人間で異なるのは、自己と異なる人々への優越感や劣等感、信頼の欠如や恐怖、言語や礼儀の相違から生じる意思疎通の困難、他者の動機づけ、社会関係、社会慣習の知識の欠如の理由によるものである。文明間の対立は相互関係、特に価値観や文化、制度を他者に強制する過程で生じやすくなる。ハンティントンは文化やアイデンティティには内在的に外部者に対する敵対行動の原理を持っているものと評価している。
出典
- ^ Huntington 1993.
- ^ ハンチントン 2001.
- ^ The Clash of Civilizations? (PDF)
- ^ Official copy (free preview): The Clash of Civilizations? , Foreign Affairs , Summer 1993
- ^ "U.S. Trade Policy – Economics" Archived 2013年6月29日, at the Wayback Machine.. AEI. 2007-02-15.
- ^ “The World of Civilization”. 2007年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月15日閲覧。
- ^ トッド, エマニュエル「EU の将来と日本の役割 —国際紛争に直面して」『環』第12巻、藤原書店、2003年、 78-102頁、 ISBN 4-89434-317-7。
- ^ 詳細はエマニュエル・トッド#旧世界と新世界の文明の衝突を参照。
- ^ 田中宇 (2001年9月18日). “「戦争」はアメリカをもっと不幸にする”. 田中宇の国際ニュース解説. 2022年10月8日閲覧。
- ^ 春田晴郎 (1998年8月17日). “[超短評]ハンチントン『文明の衝突』”. 東京大学. 2012年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月8日閲覧。
- 1 文明の衝突とは
- 2 文明の衝突の概要
- 3 批判
- 4 関連項目
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