ブルーカーボンとは? わかりやすく解説

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ブルー‐カーボン【blue carbon】


ブルーカーボン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/06 20:23 UTC 版)

ブルーカーボン英語: Blue Carbon )とは、海洋生態系に隔離・貯留される炭素のことである[1]。また、海洋生態系によって海中に蓄積される炭素固定能のことを指す場合もある[2]


注釈

  1. ^ インドネシア西部のバンダアチェでは、約100年前にあったマングローブ林の9割がエビの養殖池などに転換されている。また、2004年のスマトラ沖大地震・インド洋津波では、マングローブ林が残っていれば 70% 程度、津波の高さを減らすことができたとされる。
  2. ^ 海草類は花を咲かせ、種子を形成する。
  3. ^
    (参考)日本における藻場(海藻・海草)の種類

    海草類

    アマモ場(熱帯海草藻場を含む)
    • トチカガミ科
    (ウミショウブ、ヒメウミヒルモ、ウミヒルモなど)
    • シオニラ科
    (ベニアマモ、リュウキュウスガモ、ボウアマモなど)
    • アマモ科
    (スガモ、エビアマモ、オオアマモ、スゲアマモ、タチアマモ、アマモ、コアマモなど)
    • ワワツルモ科
    (カワツルモ、ネジリカワツルモなど)

    海藻類

    ガラモ場
    • ホンダワラ科
    (アカモク、シダモク、タマハハキモク、ヤツマタモク、マメタワラ、ノコギリモク、オオバモク、ヨレモクモドキ、ウミトラノオなど)
    コンブ場
    • コンブ科
    (マコンブ、ホソメコンブ〈非食用〉、ミツイシコンブ、リシリコンブ、ナガコンブ、オニコンブ、ガッカラコンブなど)
    アラメ・カジメ場
    • コンブ科
    (アラメ、サガラメ、カジメ、クロメ、ツルアラメなど)
    ワカメ場
    • チガイソ科
    (ワカメ、ヒロメなど)
    • コンブ科
    (アントクメなど)
    テングサ場
    • テングサ科
    (マクサ、オバクサなど)
    アオサ・アオノリ場
    • アオサ科
    (アナアオサ、スジアオノリなど)

    その他

    その他の藻場
    ( - )

    環境省「藻場の復元に関する配慮事項」、水産庁「藻場の種類」により作成。

  4. ^ 大気中への残留二酸化炭素は次のにより求められる。
    {(大気中への残留二酸化炭素)=(大気中二酸化炭素増加量)=(排出源)-(吸収源)}
  5. ^ 「トン炭素」とは、炭素の重量に換算した二酸化炭素の量のこと。
  6. ^ 「ハロカーボン類」とは、フッ素塩素臭素ヨウ素を含む炭素化合物の総称であるが、大半は自然界に存在しない。具体的には、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、四フッ化炭素(CF4)などが挙げられる。
  7. ^ a b c 干潟と藻場の炭素貯留量は、同じ面積の森林の約 18 から 12 に相当する。
  8. ^ CNCA 」とは、2050年までに温室効果ガス排出量を80% 削減することなどを目標として掲げる世界の都市が加盟しているアライアンスである。
  9. ^ 「カーボン・オフセット」とは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量と釣り合う排出削減及び吸収活動に投資することによって、排出される温室効果ガスを相殺させようという考えである。
  10. ^ 「国連海洋会議」とは、海洋の持続可能性を促進する取り組みを活性化することを目的とした会議である。

出典

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「ブルーカーボン」の続きの解説一覧

ブルーカーボン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 09:32 UTC 版)

藻場」の記事における「ブルーカーボン」の解説

2000年代以降低緯度地域藻場二酸化炭素大量に固定できる存在として、ブルーカーボンの視点から注目浴びている。

※この「ブルーカーボン」の解説は、「藻場」の解説の一部です。
「ブルーカーボン」を含む「藻場」の記事については、「藻場」の概要を参照ください。

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