ファティマの処遇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 15:05 UTC 版)
「ファティマ (ファイブスター物語)」の記事における「ファティマの処遇」の解説
ファティマの存在は星団法(記事「ファイブスター物語」の「作品用語」参照)で強く規制されている。彼女らは工場やマイトの工房で培養・育成され、高い教育と訓練を施された後、星団法に規定された様々な処置(「MHに搭乗したら戦闘を行い敵を殺害する」など、主に戦闘行為に関する思考を強制する「ダムゲート・コントロール」と呼ばれる思考制御プログラム、アイカバーとクリスタルの装着等)を経て騎士の需要を待つ。ファティマは彼女らを所有する騎士の動産と見なされ、人間と同様の人権は与えられない。 ファティマは基本的にMHのコントロールの為に騎士が所有するものであるが(所有者である騎士を通常「マスター」と呼ぶ)、優れた情報解析能力のためマスコミが所有する例もある。また主が騎士を廃業したり騎士権を剥奪されても、家政婦のような形で引き続き仕えるケースも稀にある。一部の豪族や貴族の中には、騎士ではないにもかかわらずその権力により騎士の資格を偽造し、何らかの手段でファティマを手に入れる者もいる。このほか作中では、ファティマのダムゲート・コントロールを何らかの手段で狂わせ、一般人が偽のマスターとなってファティマ専門の売春宿を経営していた例もある。 ただしファティマの維持には、後述するアレルギーへの対策などの関係から、日本円に換算すると年間数億円程度の維持費が必要になる。騎士団所属の騎士の場合は通常騎士団側が維持費を負担してくれるが、フリーの騎士の場合は自ら維持費を賄う必要があるため、中には維持費を賄えずにファティマを手放さざるを得なかったり、最悪の場合ファティマが病気となり死んでしまうこともある。こういった費用面の問題もあり、一般人がファティマを所有することは現実的ではない。なおファティマスーツに多くの場合高額な宝石類が装着されているのは、ファティマの維持費が賄えなくなった場合にそれらの宝石類を売却することで一時的にせよ維持費を捻出できるようにするためとされている。 本来ファティマは非常におとなしく他者に従順な精神をもっており、ロボット工学三原則のように人間に対する反逆を防止する制御も必要無い程だが、ダムゲート・コントロールによる戦闘行為の強制に加え、マスターとの人間関係が却って精神バランスの乱れを生じさせ、最悪精神崩壊を生じさせる危険があるため、マイトやマイスターによる定期的なケアが欠かせない。ファティマの人格を認めずあくまで兵器として扱う事で悪名高いノイエ・シルチスや黒騎士デコース等の方が、ファティマの精神的負担が少ないという点でむしろ理想的なマスターであると言われている。 仕えるべき主(騎士)のいないファティマは、その身を防衛する最低限の権利も許されていない。そのため、戦闘などで主を失い騎士や国家の庇護を失ったファティマ(「はぐれファティマ」と呼ばれる、言わば野良ファティマ)は、そのほとんどが若く美しい痩身の女性であることに加え、騎士への嫉妬心を煽る存在であるため、騎士の力を持たない一般人男性によって性的暴力を受けることも珍しくない(この点に関してはむしろ男性型ファティマの方が悲惨であり、男性型が作られる事が少ない一因でもある)。 ファティマに対するこうした世間の冷遇は、ひとつにはその永遠の美貌に対する世の女性たちの、そしてその美しいファティマを所有しうる騎士に対する世の男たちの羨望にもよるが、何より劇中でアトロポスが語っているように、人間達を凌駕する知力と体力、そして長い寿命を持つ彼女らが、いつか創造主である人類になり替わり万物の霊長として君臨するのではないかという潜在的恐怖(いわゆるフランケンシュタイン・コンプレックス)に依る所が大きい。彼女らに生殖能力が与えられていないのもその現れである。 1人の騎士が複数のファティマを同時に所有することも可能だが、先述した通り一体あたりの維持費が高額であることに加え、通常騎士にとってファティマは(性的処理も含めた)パートナーであるという側面もあるため、実際に複数のファティマを同時所有している騎士は(「はぐれファティマ」を保護するために一時的に仮のマスターとなる場合を除き)極めて少ない。また騎士がファティマの所有を放棄する場合は、ファティマのヘッドコンデンサ(クリスタル)に指を当てた状態で「You seek your next.」(次のマスターを探せ)と命じることで、いつでも所有を放棄できる。もちろんマスターの死亡時もプログラムは解除される(仮にファティマの与り知らぬ処でマスターが死亡した際は、収集した情報からマスターの死を認識した時点で解除される)。ただしプログラム解除でマスターとの絆が完全に失われる訳では無く、静は前マスターのアルテン・サヤステの来訪に歓喜しており、メガエラはウェイ・ルースにその先祖である最初のマスターの面影を見出して涙している。また過去のマスターの許で知り得た重要機密(MHの開発情報など)に対する秘匿性も高く、「脳味噌を引きずり出してデータを直接抽出でもしない限りは漏洩しない」と言われている。 ただし、星団歴7777以降においては星団法は適用されていないためファティマを縛る法は無くなっている。(月刊ニュータイプ2020年7月号) はぐれファティマ マスターを失い、そのまま騎士や国家などの庇護を失ったファティマのことで、いわば野良ファティマ。多くの場合、戦闘でマスターを失った後に放置されて野良となり、別の騎士に保護されるまで放浪することになる。 ロストファティマ マスターを失ったファティマ。ただし仮のマスターを得るなど他の騎士や国家などの庇護下にある点で、はぐれファティマとは異なる。 ブーメランファティマ マスターを失い製造したマイトや調整役のマイスターの許に戻ったファティマ。
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