バナッハ=アラオグルの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/30 10:12 UTC 版)
バナッハ=アラオグルの定理(バナッハ=アラオグルのていり、英: Banach–Alaoglu theorem)あるいはアラオグルの定理として知られる定理は、ノルム空間Vの共役空間V*の閉単位球が*弱位相関してコンパクトになるという定理である[1]。
- ^ Rudin 1991, section 3.15.
- ^ #Kelly pp.135-136.
- ^ #Schlumprecht p.7.
- ^ a b c #Semmes pp.15, 20-21
- ^ #Heil p.361.
- ^ Köthe 1969, Theorem (4) in §20.9.
- ^ Meise & Vogt 1997, Theorem 23.5.
- 1 バナッハ=アラオグルの定理とは
- 2 バナッハ=アラオグルの定理の概要
- 3 定理
- 4 一般化:ブルバキ=アラオグルの定理
- 5 帰結
バナッハ=アラオグルの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/05 03:33 UTC 版)
「弱位相」の記事における「バナッハ=アラオグルの定理」の解説
ノルム位相に対してはリースの補題から直接的に次の事実が従う: 命題 ― R {\displaystyle \mathbb {R} } もしくは C {\displaystyle \mathbb {C} } 上のノルム空間Xの閉単位球がノルム位相に関してコンパクトである必要十分条件はXが有限次元である事である。 したがって無限次元の場合、X*の閉単位球はノルム位相に関してコンパクトではない。しかし、X*の閉単位球は*弱位相に関してはコンパクトになる: 定理 (バナッハ=アラオグルの定理) ― Kを R {\displaystyle \mathbb {R} } もしくは C {\displaystyle \mathbb {C} } とする。このときK上のノルム空間 ( X , ‖ ⋅ ‖ X ) {\displaystyle (X,\|\cdot \|_{X})} の共役空間 ( X ∗ , ‖ ⋅ ‖ X ∗ ) {\displaystyle (X^{*},\|\cdot \|_{X^{*}})} に*弱位相を入れると、X*の閉単位球は B ∗ = { α ∈ X ∗ ∣ ‖ α ‖ X ∗ ≤ 1 } {\displaystyle B^{*}=\{\alpha \in X^{*}\mid \|\alpha \|_{X^{*}}\leq 1\}} はコンパクトである。 この定理はチコノフの定理に基づいて非構成的に示せる。なおノルム空間Xが(ノルム位相に関して)可分な場合には直接的にに証明可能である。 バナッハ=アラオグルの定理は半径1の閉球に対するものだが、任意の半径の閉球もコンパクトになる事が容易に示せる。また*弱位相はハウスドルフ性を満たす事が知られており、コンパクトな空間の閉部分集合はコンパクトなので、以下の系が成立する: 系 ― X*に*弱位相を入れた空間の有界閉集合はコンパクト なお、Xが回帰的(すなわちX**=Xが成立する空間)であればX上の弱*位相と弱位相は同一になるので、下記の系が従う: 系 ― Xが回帰的なノルム空間であれば、Xに弱位相を入れた空間の有界閉集合はコンパクト 1 < p < ∞に対しLp空間やℓp空間は回帰的なので、上記の定理が適用できる。しかし回帰的でない場合には上述の定理に反例があり、例えば0に収束する複素数列全体にℓ∞ノルムを入れた空間c0の閉単位球は弱位相に関してコンパクトではない。 注意しなければならないのは、弱*位相における有界閉集合には内点が無く、有界閉集合上の点は必ず境界点になる事である。これはすなわち、たとえ閉単位球がコンパクトであっても弱*位相をいれたX*が局所コンパクトにはなっていない事を意味する。
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