Lp空間
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数学の分野における Lp 空間(エルピーくうかん、英: Lp space)とは、有限次元ベクトル空間に対する p-ノルムの自然な一般化を用いることで定義される関数空間である。アンリ・ルベーグの名にちなんでルベーグ空間としばしば呼ばれる[1] が、Bourbaki (1987) によると初めて導入されたのは Riesz (1910) とされている。Lp 空間は関数解析学におけるバナッハ空間や、線型位相空間の重要なクラスを形成する。物理学や統計学、金融、工学など様々な分野で応用されている。
注釈
出典
- ^ Dunford & Schwartz 1958, III.3.
- ^ Rolewicz, Stefan (1987), Functional analysis and control theory: Linear systems, Mathematics and its Applications (East European Series), 29 (Translated from the Polish by Ewa Bednarczuk ed.), Dordrecht; Warsaw: D. Reidel Publishing Co.; PWN—Polish Scientific Publishers, pp. xvi+524, ISBN 90-277-2186-6, MR920371, OCLC 13064804
- ^ Maddox, I.J. (1988), Elements of Functional Analysis (2nd ed.), Cambridge: CUP, page 16
- ^ Titchmarsh 1976.
- ^ Rudin, Walter (1980), Real and Complex Analysis (2nd ed.), New Delhi: Tata McGraw-Hill, Theorem 6.16
- ^ a b Rudin 1991, §1.47.
- ^ Adams & Fournier 2003.
- ^ Duren 1970, §7.5.
- ^ Kalton, Peck & Roberts 1984.
- ^ a b c Grafakos 2004.
Lp 空間
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1 ≤ p < ∞ とし、(S, Σ, μ) を測度空間とする。絶対値の p 乗の積分が有界であるような、S から C(または R)への可測函数の集合を考える。すなわち、 ‖ f ‖ p := ( ∫ S | f | p d μ ) 1 / p < ∞ {\displaystyle \|f\|_{p}:={\Big (}\int _{S}|f|^{p}\,d\mu {\Big )}^{1/p}<\infty } であるような可測函数の集合を考える。 そのような函数の集合は、以下の自然な作用によりベクトル空間を構成する: ( f + g ) ( x ) := f ( x ) + g ( x ) and ( λ f ) ( x ) := λ f ( x ) {\displaystyle (f+g)(x):=f(x)+g(x){\text{ and }}(\lambda f)(x):=\lambda f(x)} ここで λ は任意のスカラーである。 二つの p 乗可積分函数の和が再び p 乗可積分となることは、不等式 |f + g|p ≤ 2p-1 (|f|p + |g|p) より従う。実際、ミンコフスキーの不等式より、‖ • ‖p については三角不等式が成立することも従う。したがって p 乗可積分函数の集合は、函数 ‖ • ‖p を備える半ノルムベクトル空間であり、 L p ( S , μ ) {\textstyle {\mathcal {L}}^{p}(S,\mu )} と表記される。 この空間は標準的な方法でノルムベクトル空間へと変えられる。すなわち、‖ • ‖p の核についての商空間を考えればよい。任意の可測函数 f に対して ‖ f ‖p = 0 であるための必要分条件は殆ど至る所(英語版) f = 0 であることなので、‖ • ‖p の核は p に依存しない。すなわち、 N ≡ k e r ( ‖ ⋅ ‖ p ) = { f : f = 0 μ -almost everywhere } {\displaystyle N\equiv \mathrm {ker} (\|\cdot \|_{p})=\{f:f=0\ \mu {\text{-almost everywhere}}\}} である。 そのような商空間では、二つの函数 f と g に対してほとんど至る所で f = g が成り立つのであれば、それらは等しいものとされる。以上の定義より、得られるノルムベクトル空間は L p ( S , μ ) ≡ L p ( S , μ ) / N {\displaystyle L^{p}(S,\mu )\equiv {\mathcal {L}}^{p}(S,\mu )/N} である。 p = ∞ の場合、空間 L∞(S, μ) は次の様に定義される。本質的に有界、すなわち測度ゼロの集合上を除いて有界であるような、S から C(または R)への可測函数の集合を考える。 その集合内の二つの函数は、上述と同様に、ほとんど至る所で等しいのであれば、等しいものとされる。その集合を L∞(S, μ) と表す。L∞(S, μ) に含まれる f に対して、その本質的上限が適切なノルムを与える: ‖ f ‖ ∞ ≡ inf { C ≥ 0 : | f ( x ) | ≤ C for almost every x } . {\displaystyle \|f\|_{\infty }\equiv \inf\{C\geq 0:|f(x)|\leq C{\mbox{ for almost every }}x\}.} 上述と同様に、ある q < ∞ に対して f ∈ L∞(S, μ) ∩ Lq(S, μ) であるなら ‖ f ‖ ∞ = lim p → ∞ ‖ f ‖ p {\displaystyle \|f\|_{\infty }=\lim _{p\to \infty }\|f\|_{p}} が成立する。 1 ≤ p ≤ ∞ の場合、Lp(S, μ) はバナッハ空間である。Lp が完備であることはしばしばリース=フィッシャーの定理として述べられている。完備性はルベーグ積分に対する収束定理を用いることで確かめられる。 測度空間 S を特に注意する必要が無い場合、Lp(S, μ) は Lp(μ) や Lp と略記される。上述の定義はボホナー空間へと一般化される。
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ℓp-空間
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詳細は「ルベーグ空間」を参照 KN の部分空間 ℓp を、0 < p < ∞ に対して ℓp = {(xn)n∈N : ∑n |xn|p < ∞} および p = ∞ に対して ℓ∞ は有界数列全体の成す空間と定める。ここで実数値の単項演算 |•| は(実または複素数の)絶対値である。 1 ≤ p ≤ ∞ の場合 x = (xn)n∈N のノルム ‖ x ‖ p = { ( ∑ n | x n | p ) 1 / p ( 1 ≤ p < ∞ ) sup n | x n | ( p = ∞ ) {\displaystyle \|x\|_{p}={\begin{cases}\left(\sum _{n}|x_{n}|^{p}\right)^{1/p}&(1\leq p<\infty )\\\sup _{n}|x_{n}|&(p=\infty )\end{cases}}} を考えれば、空間 ℓp (1 ≤ p ≤ ∞) は ℓ p := { x ∈ K N : ‖ x ‖ p < ∞ } {\displaystyle \ell ^{p}:=\{x\in \mathbb {K} ^{\mathbb {N} }:\|x\|_{p}<\infty \}} とも書ける。ℓp はこのノルムについて完備距離空間であり、したがってバナッハ空間となる。 0 < p < 1 の場合 ℓp はノルムを持たないが d(x,y) := ∑n |xn − yn|p で定義される距離関数を持つ。
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