テレフォール酸
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テレフォール酸(テレフォールさん、thelephoric acid、テレホル酸)は、Omphalotus subilludens[1]やカラスタケ(Polyozellus multiplex)[2]といったいくつかの菌類に見られるテルフェニルキノン色素である。テレフォール酸は、アルツハイマー病においてタンパク質(具体的にはアミロイド前駆体タンパク質)を切断する役割を持つ酵素であるプロリルエンドペプチダーゼを阻害することが明らかにされている。
- ^ Sullivan G, Garrett RD, Lenehan RF. (1971). “Occurrence of atromentin and thelephoric acid in cultures of Clitocybe subilludens”. Journal of Pharmaceutical Sciences 60 (11): 1727–29. doi:10.1002/jps.2600601134. PMID 4332377.
- ^ Ju-Yeon K, Rhee I-K, Lee K-B, Hwang J-S, Yoo I-D, Song K-S. (1999). “Thelephoric acid and kynapcin-9 in mushroom Polyozellus multiflex inhibit prolyl endopeptidase in vitro”. Journal of Microbiology and Biotechnology 9 (6): 798–803.
- 1 テレフォール酸とは
- 2 テレフォール酸の概要
テレフォール酸
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「テレフォール酸」も参照 乾燥した子実体をアセトンで抽出し、エキスを冷却してマンニットなどの不純物を分離除去した後、エーテルに可溶性の部分を除く。さらに石油エーテルで洗浄し、ピリジンから再結晶を行うことで、過マンガン酸カリウムに似て若干の金属光沢をもつ黒紫色の稜柱状結晶を単離することができる。 融点は不明であるが350 ℃ 以下では熔融せず、水および多くの有機溶媒には不溶(メタノール・エタノール・アセトンには温時には僅かに溶け、淡い赤ブドウ酒色になり、温めたピリジンには容易に溶解して赤ブドウ酒色を呈し、これに水を加えるとただちに青色に変化する)である。濃い水酸化ナトリウムには不溶、稀薄な水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムおよびアンモニア水にはわずかに溶解して青色溶液となり, 後に暗緑色となる。濃塩酸では変色せず、濃硝酸では橙黄色、濃硫酸では濃い藍色を呈する。吸収極大は495 nmにある。 三重県産のカラスタケを材料とした実験例では、子実体乾燥品に対する収率は2.3%で、元素分析や誘導体合成実験の結果からテレフォール酸と同定された。構造式は、2,3,8,9-テトラヒドロキシビス(1,2-b: 4,5b')ベンゾフラン-6,12-キノンである。カラスタケに近縁であるとされるケロウジやコウタケ、シシタケなどからも分離されており、広義のイボタケ科(現代では分子系統学的知見も加味し、マツバハリタケ科と狭義のイボタケ科とに分割されている)に属する菌類の子実体には普遍的に含有されるといわれている。一方、カラスタケとは直接的な形態的類似性を持たないカワラタケ や、ツメゴケ科のカブトゴケ属に置かれる複数の地衣類(Lobaria retigera [Bory] Trevis. var. retigera チヂレカブトゴケモドキ、Lobaria pulmonaria Hoffm. f. hypomela Crom. クロズジカブトゴケなど)などからも見出されている。 ポリオゼリンの加水分解によって生合成されるとされており、ポリオゼリンと同様に、シトクロムP450ファミリーのうちの9種(CYP1A2、CYP2A6, CYP2B6、CYP2C8、CYP2C、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4))に対する阻害活性を示すことが報告されている。
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