ストーカーの分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 20:57 UTC 版)
ロバート・K・レスラーによる分類。(一番歴史の古い分類法) 正常なストーカー 異常なストーカーリジェクション・センシティブ・タイプ … 拒絶に過敏な人。 ボーダーライン人格障害タイプ … ボーダーライン人格障害。 エロトマニア・タイプ … 関係妄想。 スキゾフレニア・タイプ … 統合失調症。 精神科医の福島章は、『新版 ストーカーの心理学』にて、ストーキングを行う者の心理を以下の5つに分類して考察している。 精神病系 精神病によって抱く恋愛妄想、関係妄想によってストーキングを行う。現実には自分と無関係の、スターにつきまとうようなタイプが多い。警察庁の統計によれば、ストーカーに占める精神障害者の割合は、0.5%である。 パラノイド系 妄想によりストーキングを行うが、妄想の部分以外は正常で、言動は論理的で、行動は緻密であることが多い。現実の恋愛関係の挫折によるつきまとい行為もあるが、現実には自身と無関係の相手につきまとうタイプが多い。 ボーダーライン系(境界人格障害) 性格は外交的・社交的で、「『孤独を避けるための気違いじみた努力』が特徴」で、病気ではなく、人格の成熟が未熟で、自己中心的で、他人・相手の立場になってみてものを考えることが出来ないタイプで、このタイプの人は精神医学の専門家でない人が想像するよりも世の中に多いという。人間関係は濃く、相手を支配しようとするところに特徴があるという。 ナルシスト系(自己愛性人格障害) 自信・自負心が強く、拒絶した相手にストーキングするものが多く、行動的な分類からは『挫折愛タイプ』に属するものが多い。現実の人間関係は深い。 サイコパス系(反社会的人格障害) 被愛妄想を持つ(相手が自分を好きであると信じる)のではなく、自分の感情・欲望を相手の感情と無関係に一方的に押し付けるタイプで、性欲を満たすための道具として相手を支配するものが多い。「凶悪・冷血な犯罪者」「典型的な犯罪者」というイメージが特徴で、人間関係は強引で、「相手に『取り憑く』能力を持っている」ことが特徴であるという。いわばサイコパスにあたる。 ネット系(回避性人格障害) ネットが全てと思い込み既存の人間をネットで追いかけるタイプ。指殺人。 福島章の『新版 ストーカーの心理学』(2002年)によれば、すべてのタイプのなかで、男女を問わずストーキングを受けた者が最も困難に陥れられるタイプは、ボーダーライン型であるという。DSMで、境界人格障害(ボーダーライン系)・演技性人格障害・自己愛性人格障害(ナルシスト系)・反社会性人格障害(サイコパス系)は『不安定なグループ』に分類される。福島は、ストーカー一般の特徴として、『被愛妄想(エロトマニア)』という言葉を挙げている。福島は、自分が相手を好きという感情は、どんなに強くても恋愛感情であって恋愛妄想ではない、妄想とは、証拠・根拠がないのに相手が自分を好きであると信じる、逆に相手が自分を嫌っている証拠・根拠があっても相手が自分を好きであると信じる、信じて疑わないことである、と述べている。また、ストーカー一般の特徴は、拒絶に対する過度に敏感な反応であり、すべてのタイプに共通するところは、相手の感情に想像力を働かせない、甘え、思い込み、欲求不満を攻撃に替えて解消する、というところだという。 ほかにも、何人かがストーキングを行う心理の分類を試みている。 町沢静夫による分類。 ボーダーライン型 … 嫌われることに敏感。現代増えている。 妄想障害型 … 好かれているはずだと思い込む。昔から存在した。 影山任佐による分類。 誇大自信過剰型 … 好かれているはずだと思い込む。 未練執着型 … 別れた恋人や配偶者にストーキングする。 ファン型 … 有名人にストーキングする。 妄想型 … 一方的な恋愛感情や被害者意識。 中核型 … 相手を支配しようとしたり、相手の心の中に『巣くおう』とする。最も現代的な型。 アメリカ人精神科医ドリーン・オライオン(Doreen Orion)による分類 エロトマニア … 自分は特定の相手に愛されていると思い込む妄想性障害。きわめて執拗で何年も続く。どんなに明確に拒絶されても、愛を告白されたと誤解する。 司法精神科医のDr.リード・メロイによる分類 ボーダーライン・エロトマニア型妄想性障害 … 対象と接触してから異常な執着を持つ。エロトマニアより現実にもとづく。長期間必死になれば相手が愛してくれると過剰に理想化した考えを持つ。
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