ショルダーノッチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 07:58 UTC 版)
ショルダーノッチ (shoulder knot) は所謂モール編みされたタイプである。騎馬民族の上着に縫いつけられた紐飾り (Shoulder cord) が起源とされ、ドイツ陸軍の軍服では組紐を板状に成型したものが通常勤務服に用いられるようになった。そのため、「ショルダーボード」の一種とされる場合もある。 装着は縫いつける場合と、上衣の肩部分に2箇所ずつ肩章の留め金通しを設けて固着する方法がある。留め金式は着脱可能である。イギリス軍の軍服には紐が太く、肩端が膨らんでいる形状のもの、直接縫いつけているものが多く見られる。そして、これらのものを「ショルダーコード」と呼び、小型で着脱式のものを使用する連隊では「ショルダーボード」と呼ぶ場合もある。 組紐の編み方は8の字形が一般的であるが、ドイツ軍の尉官用は組紐をU字型に並べたものであった。 第二次世界大戦中のドイツ軍佐・尉官の階級章 19世紀前半にはイギリス軍で正装用にも用いられるようになり、その後多くの国がエポーレットに代えて採用した。ドイツ帝国では最期まで略装用として扱われ、正装用にはエポーレットが使われていたが、ワイマール共和国の下で正装用に採用された。現在でも多くの国で、軍服や警察等の制服に礼装用として広く用いられている。 20世紀初頭のアメリカ陸軍礼装。(ジョン・パーシング) 正装のイギリス陸軍元帥(ピーター・イング) 日本においては、陸軍将校准士官の正装・礼装の肩章として明治19年に採用され、ほとんど変化無く使われ続けた。また、昭和13年制式では将校准士官の通常礼装用の肩章に採用された。 明治44年制式宮内省勅任官大礼服 昭和13年制式通常礼装の陸軍大将 礼装の皇宮警察音楽隊 旭川市消防本部音楽隊に所属する消防隊員。両肩にモールタイプの肩章が取り付けられている。 自衛隊では「礼服用階級章」と呼ばれ、陸上・航空自衛隊の礼装に用いられている。旧陸軍の通常礼装用の肩章に類似する陸上自衛隊の礼服用階級章は金モールが編み込まれたもので、その編み方と銀色桜星の数で階級を示す。編み方は尉官用が細いモール2本の8の字形で、准尉は桜星が無い。佐官はモールが3本で尉官のものより太い。将官も3本だが横方向8の字が尉・佐官より1つ多い。第1種礼装甲及び第2種礼装用の、第1種礼服冬服又は夏服及び第2種礼服冬服又は夏服の上衣に付く。また、冬服又は第1種夏服の上衣に取り付けることで第1種礼装乙となる。 航空自衛隊の旧式礼服用階級章は銀モールに金色桜星で、階級の表し方は陸上自衛隊と同じだった。第2種礼装用の第2種礼服冬服又は夏服の上衣に付き、冬服又は第1種夏服の上衣に取り付けることで第1種礼装となった。また、航空自衛隊の音楽隊では現行の通常演奏服装にも装飾としてこのタイプの肩章が付く。 また、戦後は警察官の礼装用もこのタイプになった。 陸上自衛隊の礼装用肩章 礼服用階級章を着けた陸自幹部(左)。編み上げたモールの数と銀色桜星で階級を示しており、この場合はモールが太く3個の桜星があるので1佐を示している。 礼装用階級章の例、2本で編み込まれたモールは尉官、3本は佐官、それぞれ銀色の桜星で階級を示し、准尉はモールのみである。 将官用礼装用階級章。3本で編み込まれたモールは佐官と同一だが、編み方に違いがあり将官の方が編み方が細かい。
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